ソーンダイクの試行錯誤説とは
試行錯誤説(trial-and-error learning)は、アメリカの教育心理学者エドワード・L・ソーンダイクが唱えた学習理論で、学習とは試行と失敗をくりかえすなかで、満足のいく結果をもたらした反応が、特定の刺激(状況)と少しずつ強く結びついていく過程だと考えます。刺激(S)と反応(R)の結合を重視することから結合説(connectionism)とも呼ばれます。ソーンダイクは「教育心理学の父」とも呼ばれ、教員採用試験の教育心理でも定番の人物です。
- 提唱者
- エドワード・L・ソーンダイク
- 実験
- ネコの問題箱(1898年)
- 中心
- 効果の法則
- 関連
- 行動主義、スキナーのオペラント条件づけ
問題箱の実験
ソーンダイクは1898年の博士論文で、空腹のネコを問題箱(puzzle box)に入れ、箱の外にエサを置きました。ネコははじめ、ひっかいたりかみついたりと動きまわるうちに、偶然ひもを引いて扉を開けます。これをくりかえすと、脱出までの時間は少しずつ短くなっていきました。ソーンダイクはこれを、突然の「ひらめき」ではなく、成功した反応がしだいに強まり、失敗した反応が消えていく過程だと解釈しました。
3つの学習の法則
| 法則 | 内容 | 授業での例 |
|---|---|---|
| 効果の法則 | 満足をもたらす反応は強まり、不快をもたらす反応は弱まる | 正しく答えたときにほめると、その行動が増える |
| 練習の法則 | 刺激と反応の結びつきは、使うほど強まり、使わないと弱まる | 九九のくりかえし練習 |
| 準備の法則 | 学ぶ準備ができているときに行動すると満足し、準備がないのに強いられると不快を感じる | 前提となる学習をすませてから新しい単元に入る |
1932年、ソーンダイクは自分の理論を修正しました。その後の研究をふまえ、単なるくりかえしだけでは学習はあまり起こらないとして練習の法則を大きく後退させ、罰は報酬ほど反応を弱めないとして効果の法則も修正しました。試験でねらわれやすいポイントです。
ほかの理論との比較
| 項目 | ソーンダイク | パブロフ | スキナー | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 対象となる行動 | 道具的な行動 | 反射的な行動 | オペラント行動 | ||
| 中心となる考え | 効果の法則 | 刺激の対提示 | 強化と罰 | ||
| 関係 | スキナーの先駆 | 고전적 조건형성 | 古典的条件づけ | 스키너 조작적 조건형성 | オペラント条件づけ |
一方、ケーラーはチンパンジーの実験から、試行錯誤ではなく洞察学習を主張しました。その後、情報処理理論のような認知的な見方が広がっていきます。
教育への示唆
学習の結果にすぐ前向きなフィードバックを返すこと、意味のある練習をさせること、学習者のレディネス(準備状態)を考えて教えること、といった原則はここから生まれました。ソーンダイクは教育測定運動もリードし、客観テストの発展にも影響を与えました。
よくある質問
- 試行錯誤説と洞察説のちがいは?
- 試行錯誤説は学習が少しずつ進むと考え、ケーラーの洞察説は状況全体を見通すことで突然解決にいたると考えます。
- 効果の法則と強化の関係は?
- 効果の法則は、スキナーのいう強化の考え方の原型です。
- 1932年にどの法則が修正されましたか?
- 練習の法則が大きく弱められ、効果の法則では罰の効果が小さく見直されました。
参考文献
- Thorndike, E. L. (1898). Animal intelligence: An experimental study of the associative processes in animals. Psychological Review: Monograph Supplements, 2(4), i–109.
- Thorndike, E. L. (1911). Animal intelligence: Experimental studies. New York: Macmillan.
- Thorndike, E. L. (1932). The fundamentals of learning. New York: Teachers College, Columbia University.
