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信頼ゲーム

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
信頼ゲームとは、一方のプレイヤー(投資者)が持ち金の一部を相手(受託者)に送ると、その金額がふつう3倍になり、相手がそのうちいくらを返すかを自由に決める実験経済学のゲームです。1995年にジョイス・バーグ、ジョン・ディックハウト、ケビン・マッケイブが考案し、「投資ゲーム」とも呼ばれます。自己利益だけを考えれば何も送らないはずですが、実際には多くの人がお金を送り、また返すため、信頼と互恵性を測る代表的な道具となりました。
目次
  1. 1. ルールと理論的予測
  2. 2. 実験結果と測定
  3. 3. 生物学的研究と論争
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ルールと理論的予測

バーグ、ディックハウト、マッケイブ(1995年)の実験では、二人の参加者がそれぞれ10ドルを受け取りました。投資者はそのうち好きなだけを匿名の受託者に送ることができ、送ったお金は3倍になって受託者に渡ります。次に受託者は、受け取ったお金のうちいくらを投資者に返すかを決めます。二人とも自己利益だけを追求する合理的な人間なら、受託者は何も返さず、それを予想した投資者は初めから何も送らないというのがゲーム理論の予測です。しかし皆が信頼し報いれば二人ともより多くのお金を得られるので、信頼が効率を高める状況を表しています。

実験結果と測定

元の実験では投資者32人のうち30人がお金を送り、平均して半分ほどを送りました。受託者の返還はさまざまで、多くは送られた額以上を返しましたが、何も返さない人もいました。ジョンソンとミスリン(2011年)は160以上の実験をメタ分析し、投資者は平均して持ち金の半分ほどを送り、受託者は受け取った額の約3分の1を返すと報告しました。コックス(2004年)は独裁者ゲームをあわせて行い、送る行動の一部は信頼ではなく単純な利他心から来ていることを区別しました。グレイザーら(2000年)は、「たいていの人は信頼できる」というアンケートの回答が、送る行動よりも信頼に値する行動、すなわち返す行動とより関係していると報告しました。

生物学的研究と論争

コスフェルドら(2005年)は、ホルモンのオキシトシンを鼻から吸入した参加者が信頼ゲームでより多くのお金を送ったと報告し、大きな注目を集めました。フェール(2009年)は、信頼は単なるリスクをとる傾向とは異なり、裏切られることへの嫌悪が信頼行動に影響すると整理しました。しかしネイブ、カメラー、マッカロー(2015年)は、その後のオキシトシン研究がうまく再現されなかったと批判的に検討し、オキシトシンが信頼を高めるという結論は慎重に受け止めるべきだと考えました。信頼ゲームは最後通牒ゲームや互恵的利他主義とともに、人間の協力や社会関係資本の研究に広く使われています。

よくある質問

信頼ゲームを簡単に言うと?
自分が相手にお金を送るとそのお金が3倍になり、相手がそのうちいくらを自分に返すかを決めるゲームです。相手をどれだけ信じて送るか、相手がどれだけ報いるかを見ることで、信頼と互恵性を測ることができます。
信頼ゲームで人は実際にどれくらい送りますか?
メタ分析によると、投資者は平均して持ち金の約半分を送り、受託者は受け取った額の約3分の1を返します。理論的予測である「何も送らない」とは大きく異なります。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Berg, J., Dickhaut, J., & McCabe, K. (1995). Trust, reciprocity, and social history. Games and Economic Behavior, 10(1), 122–142. 信頼ゲームを初めて考案した実験論文で、ゲームの構造と基本的な結果を知りたいときにまず参考になります。
  2. Glaeser, E. L., Laibson, D. I., Scheinkman, J. A., & Soutter, C. L. (2000). Measuring trust. Quarterly Journal of Economics, 115(3), 811–846. アンケートで測った信頼とゲームでの行動を比べており、信頼をどう測るか考えるときに参考になります。
  3. Cox, J. C. (2004). How to identify trust and reciprocity. Games and Economic Behavior, 46(2), 260–281. 独裁者ゲームと比較して信頼・互恵性を利他心と区別する実験設計を示しており、結果を解釈するのに役立ちます。
  4. Kosfeld, M., Heinrichs, M., Zak, P. J., Fischbacher, U., & Fehr, E. (2005). Oxytocin increases trust in humans. Nature, 435(7042), 673–676. オキシトシンが信頼を高めるという有名な研究で、信頼の生物学的基盤の議論を知りたいときに参考になります。
  5. Fehr, E. (2009). On the economics and biology of trust. Journal of the European Economic Association, 7(2–3), 235–266. 信頼がリスク選好とは異なる独自の傾向であることを経済学と生物学の研究から整理しており、信頼の本質を理解するのに役立ちます。
  6. Johnson, N. D., & Mislin, A. A. (2011). Trust games: A meta-analysis. Journal of Economic Psychology, 32(5), 865–889. 160以上の実験を総合したメタ分析で、平均してどれくらい送り返すのかを知りたいときに参考になります。
  7. Nave, G., Camerer, C., & McCullough, M. (2015). Does oxytocin increase trust in humans? A critical review of research. Perspectives on Psychological Science, 10(6), 772–789. オキシトシン研究がうまく再現されないという批判的検討で、有名な結果を慎重に受け止めるのに役立ちます。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。