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最後通牒ゲーム

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
最後通牒ゲームとは、ドイツの経済学者ヴェルナー・ギュートらが1982年に実験で初めて体系的に検討した2人交渉ゲームです。提案者が一定の金額の分け方を示し、応答者は受け入れるか拒否するかしか選べず、拒否すれば2人とも何も得られません。利己的な合理性の仮定と実際の行動のずれを示す、行動経済学の代表的な実験です。
目次
  1. 1. ゲームの構造と理論的予測
  2. 2. 実験結果と公平性の理論
  3. 3. 文化比較と神経経済学
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ゲームの構造と理論的予測

提案者は、たとえば1万円のうちいくらを応答者に渡すかを一度だけ提案し、応答者はそれを受け入れて提案どおりに分けるか、拒否して2人とも0円になるかのどちらかを選びます。すべての参加者が自分の金銭的利得だけを最大化するなら、応答者は0より大きいどんな提案も受け入れるべきなので、提案者が最小単位だけを提示するのが部分ゲーム完全均衡になります。ルービンシュタイン(1982年)の交互提案交渉モデルも同じ合理性の仮定に立っています。ギュート、シュミットベルガー、シュヴァルツェ(1982年)は、この単純なゲームで理論予測を直接検証する実験を初めて設計しました。

実験結果と公平性の理論

実験では、提案者はふつう全体の40〜50%を提示し、応答者は20〜30%を下回る低い提案をしばしば拒否します。セイラー(1988年)はこれを経済学の代表的なアノマリーとして紹介し、カーネマン、クネッチ、セイラー(1986年)は、人々が損をしてでも不公平を罰しようとする証拠と解釈しました。フォーサイスら(1994年)は応答者に拒否権のない独裁者ゲームと比較し、提案者の気前のよさの一部は拒否への恐れから来ていることを示しました。ホフマンら(1994年)は匿名性や役割の割り当て方によって提案額が変わると報告しています。フェールとシュミット(1999年)、ボルトンとオッケンフェルス(2000年)は、自分と他人の利得の差を嫌う「不平等回避」の選好を効用関数に組み込み、こうした結果を説明しました。

文化比較と神経経済学

ロスら(1991年)はエルサレム、リュブリャナ、ピッツバーグ、東京で実験を行い、国ごとに提案額に系統的な違いがあることを見いだしました。ヘンリックら(2001年)は、15の小規模社会で平均提案額が26%から58%まで大きく異なり、市場への統合度や日常生活での協力の重要性がその違いを説明すると報告しました。オースタービーク、スロフ、ファン・デ・カイレン(2004年)はメタ分析で地域差を定量化しました。サンフェイら(2003年)は機能的MRI研究で、不公平な提案を受けると前部島皮質の活動が高まり、その活動が拒否するかどうかを予測すると報告しました。キャメラー(2003年)はこれらの知見を行動ゲーム理論の枠組みにまとめました。

よくある質問

最後通牒ゲームを簡単に言うと?
一方がお金の分け方を提案し、もう一方が受け入れればそのとおりに分け、拒否すれば2人とも1円ももらえないゲームです。人は損をしてでも不公平な提案を断る傾向があることを示しています。
独裁者ゲームとは何が違いますか?
独裁者ゲームでは受け手に拒否権がありません。2つを比べることで、提案者の気前のよさのうちどれだけが純粋な思いやりで、どれだけが拒否への心配によるものかを見分けられます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Güth, W., Schmittberger, R., & Schwarze, B. (1982). An experimental analysis of ultimatum bargaining. Journal of Economic Behavior & Organization, 3(4), 367–388.
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  3. Kahneman, D., Knetsch, J. L., & Thaler, R. H. (1986). Fairness and the assumptions of economics. Journal of Business, 59(4), S285–S300.
  4. Thaler, R. H. (1988). Anomalies: The ultimatum game. Journal of Economic Perspectives, 2(4), 195–206.
  5. Roth, A. E., Prasnikar, V., Okuno-Fujiwara, M., & Zamir, S. (1991). Bargaining and market behavior in Jerusalem, Ljubljana, Pittsburgh, and Tokyo: An experimental study. American Economic Review, 81(5), 1068–1095.
  6. Forsythe, R., Horowitz, J. L., Savin, N. E., & Sefton, M. (1994). Fairness in simple bargaining experiments. Games and Economic Behavior, 6(3), 347–369.
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  8. Fehr, E., & Schmidt, K. M. (1999). A theory of fairness, competition, and cooperation. Quarterly Journal of Economics, 114(3), 817–868.
  9. Bolton, G. E., & Ockenfels, A. (2000). ERC: A theory of equity, reciprocity, and competition. American Economic Review, 90(1), 166–193.
  10. Henrich, J., Boyd, R., Bowles, S., Camerer, C., Fehr, E., Gintis, H., & McElreath, R. (2001). In search of homo economicus: Behavioral experiments in 15 small-scale societies. American Economic Review, 91(2), 73–78.
  11. Camerer, C. F. (2003). Behavioral Game Theory: Experiments in Strategic Interaction. Princeton, NJ: Princeton University Press.
  12. Sanfey, A. G., Rilling, J. K., Aronson, J. A., Nystrom, L. E., & Cohen, J. D. (2003). The neural basis of economic decision-making in the Ultimatum Game. Science, 300(5626), 1755–1758.
  13. Oosterbeek, H., Sloof, R., & van de Kuilen, G. (2004). Cultural differences in ultimatum game experiments: Evidence from a meta-analysis. Experimental Economics, 7(2), 171–188.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。