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世界システム論

👥 社会学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
世界システム論とは、個々の国家ではなく、国境を越えた分業で結ばれた一つの資本主義世界経済を分析の単位とし、各国の発展や格差をその中での位置から説明する社会科学の理論です。
目次
  1. 1. ウォーラーステインと近代世界システム
  2. 2. 中核・半周辺・周辺とヘゲモニー
  3. 3. 批判と広がり
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ウォーラーステインと近代世界システム

アメリカの社会学者イマニュエル・ウォーラーステインは『近代世界システム』第1巻(1974年)で、16世紀ごろ西ヨーロッパを中心に国境を越えた分業体系、つまり資本主義的な「世界経済」が成立したと論じました。一つの政治権力が支配する「世界帝国」とは違い、世界経済は複数の国家に分かれながら市場と分業によって統合されている点に特徴があるとしています。このアプローチは、国ごとに発展段階をたどるとみる近代化論と、中心―周辺関係を強調した従属理論を批判的に受け継いだものです。アナール学派のフェルナン・ブローデルが強調した「長期持続」の歴史観も大きな影響を与えました。

中核・半周辺・周辺とヘゲモニー

世界システムは、高利潤で資本集約的な生産が集まる中核、低賃金労働や原材料の生産を担う周辺、そして両方の性格をあわせもつ半周辺から成ります。半周辺はシステムを安定させる緩衝の役割を果たし、国家はこの序列の中で上昇も下降もしえます。また世界システムには、一国が生産・商業・金融で圧倒的な優位に立つヘゲモニーの時期が循環して現れ、ウォーラーステインは17世紀のオランダ、19世紀のイギリス、20世紀のアメリカを挙げました。ジョヴァンニ・アリギは『長い20世紀』(1994年)でこれを蓄積体制の循環として精緻化し、ニコライ・コンドラチェフが示した約50年周期の長期波動もあわせて議論されます。国家間の階層構造を葛藤理論の視点から捉える点が特徴です。

批判と広がり

ジャネット・アブー=ルゴドは『ヨーロッパ覇権以前』(1989年)で、13〜14世紀にはアジアと中東を結ぶ世界システムがすでにあったと主張し、アンドレ・グンダー・フランクは『リオリエント』(1998年)で、1800年以前の世界経済の中心はアジアだったと論じました。ケネス・ポメランツの『大分岐』(2000年)は、18世紀の中国江南とイギリスはほぼ同じ水準にあり、石炭と新大陸の資源がヨーロッパの分岐を生んだとして大きな論争を呼びました。経済構造を重視しすぎて文化や国家の自律性を軽く見ているという批判や、ヴェーバー的な文化による説明との緊張もあります。それでも世界システム論は、グローバル化、グローバル・バリューチェーン、中国の台頭や覇権移行をめぐる議論の中心的な枠組みとして使われています。

よくある質問

世界システム論で日本や韓国はどこに位置づけられる?
論者によって異なりますが、日本は20世紀に中核へ上昇した例、韓国は20世紀後半に周辺から半周辺へ、さらに中核寄りへと上昇した代表例として扱われることが多いです。
世界システム論はマルクス主義なの?
マルクスの資本蓄積と階級の分析を土台にしていますが、ブローデルの歴史学と従属理論を組み合わせ、国家ではなく世界経済を単位とする点で独自の学派とみなされています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Kondratieff, N. D. (1926). Die langen Wellen der Konjunktur. Archiv für Sozialwissenschaft und Sozialpolitik, 56, 573–609.
  2. Wallerstein, I. (1974). The Modern World-System I: Capitalist Agriculture and the Origins of the European World-Economy in the Sixteenth Century. New York: Academic Press.
  3. Wallerstein, I. (1979). The Capitalist World-Economy. Cambridge University Press.
  4. Braudel, F. (1979). Civilisation matérielle, économie et capitalisme, XVe–XVIIIe siècle (3 vols.). Paris: Armand Colin.
  5. Chase-Dunn, C. (1989). Global Formation: Structures of the World-Economy. Oxford: Blackwell.
  6. Abu-Lughod, J. L. (1989). Before European Hegemony: The World System A.D. 1250–1350. New York: Oxford University Press.
  7. Arrighi, G. (1994). The Long Twentieth Century: Money, Power, and the Origins of Our Times. London: Verso.
  8. Frank, A. G. (1998). ReORIENT: Global Economy in the Asian Age. Berkeley: University of California Press.
  9. Pomeranz, K. (2000). The Great Divergence: China, Europe, and the Making of the Modern World Economy. Princeton University Press.
  10. Wallerstein, I. (2004). World-Systems Analysis: An Introduction. Durham, NC: Duke University Press.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。