デブリーフィング実験
フェスティンガー、リーケン、シャクター(1956年)は、終末の予言が外れた後も信者が信念を捨てるどころか、より熱心に布教した事例を記録し、反証された信念が保たれる現象に注目しました。ロス、レッパー、ハバード(1975年)は参加者に本物と偽物の遺書を見分ける課題を与え、無作為に「よくできた」あるいは「できなかった」という偽のフィードバックを与えました。その後、フィードバックはあらかじめ決められた偽物だったとはっきり説明したにもかかわらず、成功のフィードバックを受けた参加者はなお自分がこの課題を得意だと評価しました。観察者も同様に行為者の能力についての印象を保ちました。このように根拠が消えた後も残る信念を、信念の固執と呼びました。
なぜ信念は残るのか
アンダーソン、レッパー、ロス(1980年)は、参加者にリスクを好む傾向と消防士としての成功との関係を示す架空の事例を提示しました。事例がつくり話だと知らされた後も参加者は最初に信じた関係をかなりの程度保ち、その関係がなぜ成り立つのかを自分で説明して書いた人ほど信念が強く残りました。研究者たちは、人がつくった因果的な説明が元の証拠とは独立して記憶に残り、信念を支えると解釈しました。ジョンソンとサイファート(1994年)は、訂正された誤情報がその後の推論に影響し続ける「持続的影響効果」を示し、誤情報に代わる別の因果的説明がないときにこの効果が特に強いことを明らかにしました。ニッカーソン(1998年)はこれを確証バイアスのさまざまな姿の一つとして整理しています。
修正の方略とメタ分析
アンダーソン(1982年)は、反対の結論についての説明を自分でつくらせる「反対説明」の技法が信念の固執を減らすことを示しました。ロード、レッパー、プレストン(1984年)は、「反対が正しいとしたらどうか考えてみる」という反対を考える方略が、単に公正であれという指示より効果的だと報告しました。レワンドフスキーら(2012年)は誤情報の訂正に関する研究を総合し、訂正の際には偽の情報に代わる一貫した説明をあわせて示すと効果が大きいとまとめました。チャンら(2017年)のメタ分析は、反論のメッセージは効果的だが、誤情報を支持する説明を多くつくった人ほど訂正が効きにくいという結果を示し、ウォルターとトゥカチンスキー(2020年)も訂正後にも誤情報の影響がかなり残ると報告しました。エッカーら(2022年)は、こうした抵抗の認知的・社会的な要因を整理しています。信念の固執は認知的不協和理論、動機づけられた推論、偽情報の研究とともに論じられます。
よくある質問
- 信念の固執を簡単に言うと?
- ある噂を信じた後、その噂が嘘だと明らかになっても、心に残った印象やもっともらしい理由のせいで半分ほど信じ続けてしまう現象です。
- 信念の固執を減らす方法は研究されていますか?
- はい。反対の結論が正しいとしたらなぜかを自分で説明させる「反対を考える」や「反対説明」の方略が効果的だと報告されています。誤情報を訂正するときは、単に間違いだと言うより、その空白を埋める代わりの説明をあわせて示すほうが効果的だとする研究が多くあります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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- Anderson, C. A., Lepper, M. R., & Ross, L. (1980). Perseverance of social theories: The role of explanation in the persistence of discredited information. Journal of Personality and Social Psychology, 39(6), 1037–1049.
- Anderson, C. A. (1982). Inoculation and counterexplanation: Debiasing techniques in the perseverance of social theories. Social Cognition, 1(2), 126–139.
- Lord, C. G., Lepper, M. R., & Preston, E. (1984). Considering the opposite: A corrective strategy for social judgment. Journal of Personality and Social Psychology, 47(6), 1231–1243.
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