研究の始まりと確率較正
オスカンプ(1965年)は、臨床事例の資料をより多く与えられた判断者が、正確さは変わらないのに確信だけが高まることを報告しました。その後研究者たちは「較正(キャリブレーション)」という考え方で自信過剰を測ってきました。人が「90%確信している」と答えた問題で、実際に90%正解しているかを確かめるのです。リクテンシュタイン、フィッシュホフ、フィリップス(1982年)は、一般常識の問題で人の確信度が実際の正答率より系統的に高いことを示す多くの研究をまとめ、アルパートとライファ(1982年)は「98%信頼区間」を答えてもらうと、真の値がその区間の外にある割合が40%を超えることも珍しくないことを示しました。
三つの自信過剰
ムーアとヒーリー(2008年)は、異なる現象が「自信過剰」という名前でひとまとめにされていると指摘し、三つに区別しました。「過大評価」は自分の実際の能力や成果を高く見積もること、「過大位置づけ」は自分が他者より優れていると信じること、「過剰精度」は自分の判断の正確さを過度に確信し、不確実性を狭く捉えることです。スヴェンソン(1981年)の研究で、米国の大学生の多くが自分の運転技能を平均以上だと答えたのは、過大位置づけの古典的な例です。ただし過大位置づけは易しい課題で現れ、難しい課題ではかえって自分を平均以下とみなす傾向もあるため、ムーアとヒーリーはこのパターンを情報の不完全さによって説明しました。クルーガーとダニング(1999年)は能力の低い人ほど自分の成績を大きく過大評価すると報告しましたが、この効果の多くは統計的な回帰で説明できるという反論もあります。
経済・経営分野での実証と批判
オディーン(1998年)は、投資家が自分の情報の精度を過信すると取引が過剰になるというモデルを示し、バーバーとオディーン(2001年)は個人の証券口座のデータから、取引の多い投資家ほど純収益が低く、男性が女性より多く取引することを報告しました。キャメラーとロバロ(1999年)は実験で、人が自分の能力を過信して、利益の出ない市場に過剰に参入することを見いだしました。マルメンディアとテイト(2005年)は、ストックオプションの行使行動で測ったCEOの自信過剰が投資のキャッシュフロー感応度を高めることを示し、ベン=デイビッド、グラハム、ハーベイ(2013年)は最高財務責任者による市場収益率の予測区間が狭すぎることを確認しました。一方ギゲレンツァー、ホフラーゲ、クラインベルティング(1991年)は、問題を無作為に抽出すると自信過剰の多くが消えることから、このバイアスは実験問題の選び方による産物かもしれないと批判しました。このテーマはアンカリング効果、計画錯誤、後知恵バイアスなどとともに、判断バイアス研究の中核をなしています。
よくある質問
- 自信過剰バイアスを簡単に言うと?
- 自分の実力や判断が、実際よりも優れていて正確だと信じてしまう傾向です。
- 自信過剰にはどんな種類がありますか?
- ムーアとヒーリー(2008年)は、自分の成果を高く見積もる過大評価、他者より優れていると信じる過大位置づけ、判断の正確さを過度に確信する過剰精度の三つに区別しました。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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- Alpert, M., & Raiffa, H. (1982). A progress report on the training of probability assessors. In D. Kahneman, P. Slovic & A. Tversky (Eds.), Judgment Under Uncertainty (pp. 294–305). Cambridge: Cambridge University Press.
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