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コンドルセのパラドックス

🏛️ 政治・行政学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
コンドルセのパラドックスとは、18世紀フランスの数学者・哲学者コンドルセ侯爵が1785年に示した社会選択理論の現象で、各投票者の選好が推移的であっても、一対比較の多数決で集団の選好を決めると、AがBに、BがCに、CがAに勝つという循環が生じ、一貫した集団的選択が存在しないことがあるというパラドックスです。
目次
  1. 1. パラドックスの構造
  2. 2. 循環を避ける条件と一般化
  3. 3. 議題操作と民主主義をめぐる論争
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

パラドックスの構造

3人の投票者のうち1番はA>B>C、2番はB>C>A、3番はC>A>Bの順に選好するとします。AとBを比べると1番と3番がAを選んでAが勝ち、BとCでは1番と2番がBを、CとAでは2番と3番がCを選びます。その結果、集団の選好はA>B>C>Aと循環し、すべての代替案に勝つ「コンドルセ勝者」は存在しません。コンドルセ(1785年)は多数決の確率的性質を分析した著作でこの現象を記述し、同時に、各投票者が正しい確率が半分より高ければ多数決の正確さは集団の大きさとともに高まるという陪審定理も示しました。

循環を避ける条件と一般化

ブラック(1948年、1958年)は、すべての投票者の選好が1つの軸の上で峰が1つの「単峰型選好」であれば循環は生じず、中位投票者が最も好む代替案がコンドルセ勝者になることを示しました。これが中位投票者定理です。セン(1966年)はこれを値制限条件として一般化しました。アロー(1951年)はコンドルセのパラドックスをより一般的な結果へと拡張し、いくつかの合理的な条件を同時に満たす集団的意思決定ルールは独裁以外に存在しないという不可能性定理を証明しました。ゲールライン(1983年)は投票者数と代替案数に応じて循環が生じる確率を計算しました。

議題操作と民主主義をめぐる論争

プロット(1967年)とマッケルヴィー(1976年)は、政策空間が2次元以上であれば多数決均衡はほとんど存在せず、議題を設定する者が順序を操作して望む結果に導けることを示しました。シェプスリー(1979年)は、委員会制度のように議題を制限する制度が「構造誘発均衡」を生み出すと説明しました。ライカー(1982年)はこれを根拠に多数者の意思という概念そのものが不安定だと主張しましたが、マッキー(2003年)は実際の事例では循環はまれだと反論しました。レーゲンヴェッターら(2006年)は大規模な選挙データで循環はほとんど観察されないと報告し、クリルド=クリトゴー(2001年)はデンマークの世論調査データからまれな循環の事例を示しました。

よくある質問

コンドルセのパラドックスを簡単に言うと?
3人がそれぞれはっきりした順位をもっていても、2つずつ多数決で比べるとじゃんけんのように互いに勝ち負けが回ってしまい、集団の1位を決められなくなる現象です。
現実の選挙でもよく起こりますか?
理論的には代替案や投票者が多いほど可能性は高まりますが、実際の大規模な選挙データでは選好が似た構造をもつことが多く、循環はまれにしか観察されません。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Condorcet, M. J. A. N. de C., marquis de. (1785). Essai sur l'application de l'analyse à la probabilité des décisions rendues à la pluralité des voix. Paris: Imprimerie Royale.
  2. Black, D. (1948). On the rationale of group decision-making. Journal of Political Economy, 56(1), 23–34.
  3. Black, D. (1958). The Theory of Committees and Elections. Cambridge: Cambridge University Press.
  4. Arrow, K. J. (1951). Social Choice and Individual Values. New York: Wiley.
  5. Sen, A. K. (1966). A possibility theorem on majority decisions. Econometrica, 34(2), 491–499.
  6. McKelvey, R. D. (1976). Intransitivities in multidimensional voting models and some implications for agenda control. Journal of Economic Theory, 12(3), 472–482.
  7. Plott, C. R. (1967). A notion of equilibrium and its possibility under majority rule. American Economic Review, 57(4), 787–806.
  8. Riker, W. H. (1982). Liberalism Against Populism: A Confrontation Between the Theory of Democracy and the Theory of Social Choice. San Francisco: W. H. Freeman.
  9. Shepsle, K. A. (1979). Institutional arrangements and equilibrium in multidimensional voting models. American Journal of Political Science, 23(1), 27–59.
  10. Gehrlein, W. V. (1983). Condorcet's paradox. Theory and Decision, 15(2), 161–197.
  11. Mackie, G. (2003). Democracy Defended. Cambridge: Cambridge University Press.
  12. Regenwetter, M., Grofman, B., Marley, A. A. J., & Tsetlin, I. M. (2006). Behavioral Social Choice: Probabilistic Models, Statistical Inference, and Applications. Cambridge: Cambridge University Press.
  13. Kurrild-Klitgaard, P. (2001). An empirical example of the Condorcet paradox of voting in a large electorate. Public Choice, 107(1–2), 135–145.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。