概念と手続き
接触仮説と拡張接触仮説に続いて、ターナーら(2007年)は直接会うことや友人の友情がなくても「想像」だけで効果があるかを試しました。参加者に高齢者や同性愛者といった外集団の見知らぬ人と、くつろいで肯定的に会話する場面を2分ほど思い描かせると、単に外集団を思い浮かべさせた条件より外集団への態度がよくなり、不安が減りました。クリスプとターナー(2009年)はこれを想像接触仮説としてまとめ、心的シミュレーションが実際の経験と似た感情や動機を引き起こすという研究に根拠を置きました。
仕組みと条件
クリスプとターナー(2012年)は、想像接触が主に集団間の不安を下げ、外集団とまた関わろうとする意図を高め、実際の出会いに備えさせる役割を果たすとまとめました。フスヌとクリスプ(2010年)は、いつ、どこで、どんな会話をするかを具体的に想像させると効果が大きくなることを示しました。想像する場面は肯定的でなければならず、否定的なものやあいまいなものは効果がないか、逆効果になることもあります。ヴェッツァーリら(2012年)は学校現場で、移民に関する間接接触が青少年の態度と行動意図を改善することを示しました。
メタ分析と批判
マイルズとクリスプ(2014年)は70余りの研究をメタ分析し、想像接触が態度、感情、行動意図、実際の行動において小さいながら一貫した効果をもつと報告しました。一方、ビグラーとヒューズ(2010年)は、実験室での短い効果が長続きするのか、深い対立のある現実でも通用するのかに疑問を呈しました。その後の大規模な追試では、効果が期待より小さい、あるいは一貫しないという結果も出ています。そのため想像接触は直接接触の代わりというより、直接接触の前に不安を下げる最初の段階とみる見方が多くなっています。
よくある質問
- 想像接触を簡単に言うと?
- 別の集団の人と気楽に会話する場面を少し想像するだけでも、その集団への不安と偏見が減るという概念です。
- 想像だけで本当に効果がありますか?
- メタ分析では小さいながら一貫した効果が報告されていますが、効果が長続きするか、現実の対立に通用するかについては論争があります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Turner, R. N., Crisp, R. J., & Lambert, E. (2007). Imagining intergroup contact can improve intergroup attitudes. Group Processes & Intergroup Relations, 10(4), 427–441. 想像接触効果を初めて実験で示した原典で、基本手続きを見るのに参考になります。
- Crisp, R. J., & Turner, R. N. (2009). Can imagined interactions produce positive perceptions? Reducing prejudice through simulated social contact. American Psychologist, 64(4), 231–240. 想像接触を偏見低減の戦略として提案した代表的論文で、理論的根拠を見るのに役立ちます。
- Bigler, R. S., & Hughes, J. M. (2010). Reasons for skepticism about the efficacy of simulated social contact interventions. American Psychologist, 65(2), 132–133. 効果の持続性と現実への応用に疑問を投げかけた批判で、限界を見るのに参考になります。
- Husnu, S., & Crisp, R. J. (2010). Elaboration enhances the imagined contact effect. Journal of Experimental Social Psychology, 46(6), 943–950. 場面を具体的に想像するほど効果が大きくなることを示した研究で、効果的な手続きを見るのに役立ちます。
- Vezzali, L., Stathi, S., & Giovannini, D. (2012). Indirect contact through book reading: Improving adolescents' attitudes and behavioral intentions toward immigrants. Psychology in the Schools, 49(2), 148–162. 学校現場で間接接触の介入を試した研究で、教育への応用を見るのに参考になります。
- Crisp, R. J., & Turner, R. N. (2012). The imagined contact hypothesis. Advances in Experimental Social Psychology, 46, 125–182. 仕組み、調整変数、応用を幅広くまとめた概観で、研究全体を見るのに役立ちます。
- Miles, E., & Crisp, R. J. (2014). A meta-analytic test of the imagined contact hypothesis. Group Processes & Intergroup Relations, 17(1), 3–26. 70余りの研究を総合したメタ分析で、効果の大きさを確かめるのに参考になります。
