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ジョンソンの行動システムモデル

🩺 看護・保健学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ジョンソンの行動システムモデルは、人間を7つのサブシステムからなる「行動システム」ととらえ、そのバランスが崩れたとき看護が外的な調節力として働き、安定を取り戻させると説明する概念モデルです。ドロシー・ジョンソンが1968年に発表し、ロイの適応モデルなど後続のシステム理論の出発点となりました。
目次
  1. 1. 看護独自の対象を求めて
  2. 2. 7つのサブシステム
  3. 3. 看護は「外的調節力」
  4. 4. 評価と限界
  5. 5. 関連項目
  6. 6. よくある質問
  7. 7. 参考文献

看護独自の対象を求めて

ジョンソンの行動システムモデルは、米国の看護理論家ドロシー・ジョンソン(1919–1999)が築いたモデルです。ヴァンダービルト大学で看護を学び、ハーバード大学で公衆衛生学修士を取得した彼女は、1949年から25年以上UCLAで教鞭をとりました。1950年代、大学教育へ移行しつつあった米国の看護界は「医学が病気を扱うなら、看護は何を扱うのか」という問いに答える必要に迫られていました。ジョンソンは1959年の論文「看護の哲学」で、看護の対象は病気ではなく人の行動であるという考えを初めて示しました。

彼女は患者の反応に目を向けたナイチンゲールの伝統、パーソンズの社会システム論、行動科学、一般システム理論を織り合わせてモデルを練り上げ、1968年のヴァンダービルト大学での講演で正式に発表しました。まとまった形で出版されたのは、1980年にリールとロイが編んだ『看護実践のための概念モデル』です。その間、UCLAで彼女の指導を受けたカリスタ・ロイが適応モデルを生み出し、ジョンソンのシステム思考はニューマンのシステムモデルなど、その後のシステム志向の理論全般に影響を与えました。

7つのサブシステム

ジョンソンは人間の行動を目的ごとに7つのサブシステムに分けました。所属や社会的なつながりをつくる愛着・親和、助けや関心を求める依存、食物を取り入れる摂取、老廃物を出す排泄、生殖や性的アイデンティティにかかわる性、自分と他者を守る攻撃・防衛、環境を扱い習熟しようとする達成のサブシステムです。のちにグラブズが休息と回復のための回復サブシステムを加え、8つとすることもあります。

各サブシステムは4つの構造的要素で説明されます。行動が向かう目標(動因)、特定の仕方で行動しようとする構え(セット)、選びうる行動の幅である選択、そして観察できる行動です。サブシステムが機能するには、環境から保護、養育(成長に必要な資源)、刺激という3つの機能的要件が満たされる必要があります。

看護は「外的調節力」

ジョンソンにとって健康とは行動システムが均衡と安定を保っている状態であり、病気や環境の変化でサブシステム間に不均衡が生じたときに看護が必要になります。看護はそこで外的調節力として働き、保護・養育・刺激を与えたり制限したりしながら、システムが再び均衡を取り戻せるよう支えます。たとえば化学療法中で食欲が大きく落ちた10代の患者なら、摂取サブシステムの問題だけでなく、友人と離れたことによる愛着・親和の欠乏や、学業の遅れからくる達成の挫折まであわせてアセスメントし、少量頻回の食事(養育)、友人とのビデオ通話(刺激)、感染予防の指導(保護)を組み合わせて計画できます。

評価と限界

看護の対象を「行動」と明確にし、医学とは異なる看護独自の領域を示したこと、体系的なアセスメントの枠組みとして特に小児看護や精神看護で役立ったことが功績です。何よりロイをはじめ次世代の理論家を育てた「理論を生んだ理論」として歴史的な意味をもちます。一方、概念どうしの関係やサブシステムの測定方法が十分に定義されていないこと、個人中心で家族や地域への適用が限られること、ジョンソン自身の著作が少なく解釈が研究者によって異なることが限界として挙げられます。

関連項目

看護理論 · ロイの適応モデル · ニューマンのシステムモデル · 一般システム理論 · ヘンダーソンの14の基本的ニード

よくある質問

サブシステムは7つ?8つ?
ジョンソンの原モデルは7つです。グラブズらが提案した回復サブシステムを加えて8つと教える教科書もあります。
ロイの適応モデルとの関係は?
ロイはUCLAでジョンソンの指導を受けながら適応モデルを構想しました。人間をシステムとみる点は共通ですが、ロイは「適応」、ジョンソンは「行動の均衡」を中心に据えています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Johnson, D. E. (1980). The behavioral system model for nursing. In J. P. Riehl & C. Roy (Eds.), Conceptual Models for Nursing Practice (2nd ed., pp. 207–216). New York: Appleton-Century-Crofts.
  2. Johnson, D. E. (1959). A philosophy of nursing. Nursing Outlook, 7(4), 198–200.
  3. Grubbs, J. (1980). An interpretation of the Johnson behavioral system model for nursing practice. In J. P. Riehl & C. Roy (Eds.), Conceptual Models for Nursing Practice (2nd ed.). Appleton-Century-Crofts.
  4. Alligood, M. R. (Ed.). (2021). Nursing Theorists and Their Work (10th ed.). Elsevier.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。