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学習性無力感

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
学習性無力感とは、何をしても結果が変わらない経験を繰り返すうちに、状況を変えられる場面でも行動しなくなる状態です。 1967年にマーティン・セリグマンとスティーブン・マイヤーが実験で報告しました。
目次
  1. 1. 学習性無力感とは
  2. 2. セリグマンの実験
  3. 3. 原因帰属による改訂
  4. 4. 学校や職場での例
  5. 5. 抜け出すために
  6. 6. よくある質問
  7. 7. 参考文献

学習性無力感とは

学習性無力感(learned helplessness)とは、自分の行動と結果が結びつかない経験を繰り返した結果、あとで状況を変えられるようになっても行動しなくなる状態のことです。ポイントは苦痛そのものではなく、「何をしても無駄だ」という統制不可能性の経験にあります。

📌 ひと目でわかる
提唱者
マーティン・セリグマン、スティーブン・マイヤー(1967年)
核心
コントロールできない経験が続くと試みること自体をやめる
3つの障害
動機づけ・認知・感情
関連概念
説明スタイル、学習性楽観主義、自己効力感

セリグマンの実験

1967年の実験では、犬を3群に分けました。パネルを押せば電気ショックを止められる群、同じショックを受けても何もできない群、ショックを受けない群です。その後、低い仕切りを越えれば簡単に逃げられる箱に入れると、何もできなかった群の多くは逃げようとせず、じっと耐えていました。ショックの量は同じだったため、差を生んだのは「コントロールできたかどうか」でした。

ヒロトとセリグマン(1975)は人でも似た結果を示しました。解けない課題や止められない騒音を先に経験した大学生は、後で簡単に止められる騒音課題でも試みが少なくなりました。

原因帰属による改訂

同じ失敗をしても、全員が無力になるわけではありません。エイブラムソンら(1978)は、失敗の原因をどう説明するか(説明スタイル)が重要だと考えました。

次元無力感につながりやすい説明立ち直りやすい説明
内的-外的「自分は頭が悪い」「今回の試験は特に難しかった」
安定-不安定「いつもこうだ」「今回は準備不足だった」
全般-特殊「何をやってもだめ」「数学のこの単元が苦手」

原因の解釈については原因帰属理論で詳しく扱っています。

50年後、マイヤーとセリグマン(2016)は理論を大きく書き換えました。受け身になるのは「学習」ではなく強いストレスに対する脳の初期反応であり、学習されるのはむしろ「自分でコントロールできる」という感覚だというのです。

学校や職場での例

  • 学校:テストで何度か点が取れず、「どうせやっても無駄」と勉強をやめてしまう生徒。教師の期待が成績を左右するピグマリオン効果とあわせて語られます。
  • 職場:提案しても採用されない職場で、社員が意見を言わなくなる状態。日本では「指示待ち」や燃え尽き症候群と重なって論じられることもあります。
  • 人間関係:長く支配的な関係にいた人がすぐに離れられない理由の説明に使われますが、被害者を責める根拠にしてはいけません。

抜け出すために

  1. 小さな成功体験:確実に達成できる小さな目標から始めます。これは自己効力感を高める方法とも共通します。
  2. 説明のしかたを見直す:「いつも・すべて・自分のせい」を「今回は・この部分で・この条件のせいで」に言い換えてみます。認知療法の思考記録表が役立ちます。
  3. 環境を変える:本当にコントロールできない構造なら、個人の努力より環境の調整が先です。

気分の落ち込みが2週間以上続き日常生活に支障がある場合は、うつ病の可能性もあるため医療機関や相談窓口に相談しましょう。

よくある質問

学習性無力感の具体例は?
何度もテストで失敗し、時間があっても勉強しなくなった生徒や、提案がいつも無視されて発言しなくなった社員が典型例です。
学習性無力感とうつ病は同じですか?
同じではありません。学習性無力感はうつを説明する理論の一つで、うつ病は診断基準のある疾患です。
学習性無力感は克服できますか?
できます。小さな成功を積み重ね、失敗の原因を具体的で一時的なものとして捉え直すことが助けになります。

参考文献

  1. Seligman, M. E. P., & Maier, S. F. (1967). Failure to escape traumatic shock. Journal of Experimental Psychology, 74(1), 1–9.
  2. Hiroto, D. S., & Seligman, M. E. P. (1975). Generality of learned helplessness in man. Journal of Personality and Social Psychology, 31(2), 311–327.
  3. Abramson, L. Y., Seligman, M. E. P., & Teasdale, J. D. (1978). Learned helplessness in humans: Critique and reformulation. Journal of Abnormal Psychology, 87(1), 49–74.
  4. Maier, S. F., & Seligman, M. E. P. (2016). Learned helplessness at fifty: Insights from neuroscience. Psychological Review, 123(4), 349–367.

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この記事は2026年10月23日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。