検査の始まり
1954〜55年、米国スローン・ケタリング研究所のカーメン、ヴロブレフスキ、ラデューは、心筋梗塞や肝炎の患者の血液でトランスアミナーゼの活性が急上昇することを報告しました。壊れた細胞から酵素が血中に漏れるという原理で、生検をしなくても肝障害がわかるようになったのは画期的でした。日本では長くGOT・GPTの名で親しまれ、現在は国際名のAST・ALTが標準です。
項目ごとの意味
ALTは主に肝臓にあり、肝細胞の障害を最も敏感に反映します。ASTは心臓や筋肉にもあるため激しい運動後にも上がり、ASTがALTの2倍以上ならアルコール性肝障害を疑う手がかりになります。γ-GTPは飲酒や薬、胆汁うっ滞に敏感で、ALPやビリルビンは胆石による胆道閉塞や黄疸の評価に使われます。アルブミンやプロトロンビン時間は肝臓の「合成力」を示し、肝硬変の進行度の判断に重要です。
数値が高いとき
日本人で肝機能異常の最も多い原因は脂肪肝で、次いで飲酒、薬やサプリメント、B型肝炎・C型肝炎です。軽い上昇でも半年以上続くなら肝炎ウイルス検査や腹部エコーで原因を確かめましょう。減量、節酒、不要なサプリの中止で改善することが多い一方、基準の10倍以上に急上昇したり黄疸が出たりした場合はすぐ受診が必要です。日本肝臓学会は「ALT 30超」を受診の目安とする「奈良宣言」を出しています。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 数値が正常なら肝臓は健康ですか?
- 必ずしもそうではありません。肝硬変が進むと残った肝細胞が少なく、かえって正常値になることがあります。
- 運動後にASTが上がりました。
- 筋肉由来の一時的な上昇のことが多く、数日休んでから再検査すると安心です。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Kwo, P. Y., Cohen, S. M., & Lim, J. K. (2017). ACG clinical guideline: Evaluation of abnormal liver chemistries. American Journal of Gastroenterology, 112(1), 18–35.
- Karmen, A., Wróblewski, F., & LaDue, J. S. (1955). Transaminase activity in human blood. Journal of Clinical Investigation, 34(1), 126–131.
- 대한간학회. (2023). 대사이상 지방간질환 진료 가이드라인.
