由来とヤンケロヴィッチの4段階
マクナマラは、フォード・モーターやアメリカ陸軍航空軍の統計管理部門で統計的な管理手法によって名声を築き、国防長官になってからはベトナム戦争の成果を殺害した敵兵の数、つまり「死体数」で測りました。ギブソン(1986年)とシャプリー(1993年)は、このように数量化に頼った戦争の管理を詳しく記録しています。キナード(1977年)がベトナム戦争に従軍したアメリカ軍の将官を調査したところ、多くが死体数は誇張されており、進み具合を測る指標として妥当ではなかったと答えました。ガートナーとマイヤーズ(1995年)は、ベトナム戦争と朝鮮戦争を比べ、なぜ死体数が成功の指標として採用されたのかを分析しています。社会学者ダニエル・ヤンケロヴィッチはこの誤謬を4つの段階にまとめ、ハンディ(1994年)がそれを広く紹介しました。第一に、簡単に測れるものは何でも測る。第二に、簡単に測れないものは無視するか、恣意的な値をつける。第三に、簡単に測れないものは重要でないと見なす。第四に、簡単に測れないものは存在しないと言う。
指標のゆがみと反応性
マクナマラの誤謬は、指標そのものが行動を変えてしまう問題と結びついています。キャンベル(1979年)は、定量的な社会指標が社会的な意思決定に使われるほど腐敗の圧力を受け、監視しようとしていた社会過程をゆがめると述べました。これがキャンベルの法則です。これは、指標が目標になるとよい指標ではなくなるというグッドハートの法則にも通じます。カー(1975年)は、組織がAを望みながら、実際には測りやすいBに報酬を与えてしまう愚かさを指摘しました。ベヴァンとフッド(2006年)は、イギリスの公的医療の成果目標の仕組みで、待ち時間などの指標を満たすためのさまざまな「ゲーミング」が生じたことを分析しました。エスペランドとソーダー(2007年)は、アメリカのロースクールのランキングが、学校の行動をランキングの基準に合わせて変えてしまう「反応性」を示しました。
数字への信頼と指標への批判
ポーター(1995年)は、数字が客観性の象徴として信頼される理由を、専門家の裁量への不信のなかで数字が公的な正統性を与えるからだと説明しました。ストラザーン(1997年)は、イギリスの大学の評価の仕組みを分析し、測定が目標になるときに生じる問題を指摘しています。バスラー(2009年)は、医学研究が測りやすい代替指標にこだわる問題をマクナマラの誤謬として説明しました。ミュラー(2018年)は『測りすぎ(The Tyranny of Metrics)』で、教育、医療、警察、軍事の分野で指標への過度なこだわりが判断力や内発的な動機を損なうと批判しています。ただし、この概念は測定そのものを否定するものではなく、測れないものを無視する態度を戒めるものです。これは、指標の達成がかえって問題を大きくしたコブラ効果ともつながっています。
よくある質問
- マクナマラの誤謬を簡単に言うと?
- 数字で測れるものだけを重要と見なし、測れないものを無視してしまう誤りです。ベトナム戦争で敵兵の死体数によって戦争の進み具合を判断したものの、民心や戦う意志のような測りにくい要素を見落として失敗した例が代表的です。
- マクナマラの誤謬とグッドハートの法則はどう違いますか?
- マクナマラの誤謬は、測りにくいものを無視するという判断の問題に焦点を当てます。グッドハートの法則は、ある指標を目標にすると人々がその指標に合わせて行動を変え、指標が意味を失う現象を指します。二つの概念は、指標中心の管理の異なる側面を示しています。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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- Campbell, D. T. (1979). Assessing the impact of planned social change. Evaluation and Program Planning, 2(1), 67–90.
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- Shapley, D. (1993). Promise and Power: The Life and Times of Robert McNamara. Boston: Little, Brown.
- Handy, C. (1994). The Empty Raincoat: Making Sense of the Future. London: Hutchinson.
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- Muller, J. Z. (2018). The Tyranny of Metrics. Princeton: Princeton University Press.
