予言と発見
1932年にジェームズ・チャドウィックが中性子を発見してわずか2年後の1934年、ウォルター・バーデとフリッツ・ツビッキーは超新星を「普通の星が中性子でできた星に変わる過程」だと大胆に予言しました。1939年にはオッペンハイマーとヴォルコフが最大質量を計算しましたが、観測による証拠は30年近く得られませんでした。1967年、英ケンブリッジ大学の大学院生ジョスリン・ベル・バーネルは、電波望遠鏡の記録に1.337秒ごとに規則正しく点滅する信号を見つけます。冗談で「LGM-1(小さな緑の人)」と呼ばれたその正体は、高速で自転し灯台のように電波を放つ中性子星、パルサーでした。1974年のノーベル物理学賞は指導教員アントニー・ヒューイッシュだけに贈られ大きな議論を呼び、ベル・バーネルは2018年にブレークスルー賞の賞金300万ドル全額を少数派の物理学生の奨学金に寄付しました。
極限の天体
中性子星は太陽の約1.4倍の質量が直径約20kmに詰め込まれ、角砂糖1個分で数億トンにもなります。表面重力は地球の約1000億倍で、速いものは1秒に700回以上自転します。磁場が特に強い「マグネター」では地球磁場の1000兆倍に達します。太陽の約2〜3倍を超えると中性子の圧力でも重力を支えきれず、ブラックホールになると考えられています。1974年にラッセル・ハルスとジョセフ・テイラーが発見した連星パルサーは、軌道が少しずつ縮む様子から重力波の存在を間接的に証明し、1993年のノーベル賞につながりました。
| 天体 | おおよその大きさ | 特徴 |
|---|---|---|
| 白色矮星 | 地球ほど | 太陽のような星の最期、電子の圧力で支える |
| 中性子星 | 直径約20km | 重い星の最期、中性子の圧力で支える |
| ブラックホール | 事象の地平面(質量に比例) | 光さえ脱出できない |
金はどこから来たのか
2017年8月17日、米国のLIGOと欧州のVirgoは、約1億3000万光年先で2つの中性子星が合体した際の重力波GW170817をとらえました。1.7秒後にはガンマ線バーストが、続いて世界70台ほどの望遠鏡が「キロノバ」の光を観測します。そのスペクトルから金やプラチナなどの重い元素が大量につくられた痕跡が見つかり、宇宙の金のかなりの部分が中性子星合体に由来するという考えが有力になりました。重力波と光がほぼ同時に届いたことで、重力が光速で伝わるという一般相対性理論の予測も確かめられました。
よくある質問
- 中性子星をスプーン1杯すくうとどのくらい重いですか?
- 小さじ1杯で約10億トン、エベレスト山に匹敵する重さです。もっとも地球に持ってくれば圧力から解放されて爆発的に膨張します。
- 太陽もいずれ中性子星になりますか?
- なりません。太陽は質量が足りないため、赤色巨星を経て白色矮星になります。太陽のおよそ8倍以上重い星が、超新星爆発のあと中性子星やブラックホールを残します。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Baade, W., & Zwicky, F. (1934). On super-novae. Proceedings of the National Academy of Sciences, 20(5), 254–259.
- Hewish, A., Bell, S. J., Pilkington, J. D. H., Scott, P. F., & Collins, R. A. (1968). Observation of a rapidly pulsating radio source. Nature, 217, 709–713.
- Abbott, B. P., et al. (LIGO & Virgo) (2017). GW170817: Observation of gravitational waves from a binary neutron star inspiral. Physical Review Letters, 119, 161101.
