概念と古典的実験
バロンとハーシー(1988年)は参加者に、医師が手術をするかどうかを決める場面などを示しました。決定時の情報と成功確率は同じにし、結果だけを成功か失敗に変えたところ、参加者は結果が悪いときに同じ決定をより拙く、決定者をより無能だと評価しました。参加者は結果を考慮すべきではないとわかっていると答えながらも、実際の評価では結果の影響を受けました。よい決定とは、その時点の情報から期待される結果が最もよい選択ですが、現実には運が結果を大きく左右するため、結果だけで決定を評価すると系統的な誤りが生じます。
後知恵バイアスとの関係
結果バイアスは後知恵バイアスとよく一緒に論じられます。フィッシュホフ(1975年)は、結果を知った人がその結果が最初から起こりやすかったと過大評価することを示しました。後知恵バイアスが「そうなると思っていた」という確率判断のゆがみであるのに対し、結果バイアスは決定の質や決定者の能力の評価がゆがむ現象です。リプシッツ(1989年)は軍の指揮官の決定を評価する実験で、同じ決定でも成功すれば勲章、失敗すれば叱責に値すると評価されることを報告しました。アリソン、マッキー、メシック(1996年)は、結果が人の性格の推論、態度、ステレオタイプにまで影響することをまとめました。
道徳判断と組織
結果バイアスは「道徳的運」の問題ともつながります。マッツォッコ、アリッキー、デイヴィス(2004年)は、行為者の過失の程度を事前に伝えても結果による評価の差が消えないと報告し、ジーノ、シュー、ベイザーマン(2010年)は、同じ非倫理的行為でも実際に被害が生じたときにより非倫理的だと判断されることを示しました。クッシュマン(2008年)は、行為が悪いかどうかの判断は主に意図に、どれだけ罰するかの判断はより結果に左右されると報告しました。ガーダル、ミラー、ルスティキーニ(2013年)は経済学の実験で、人々が制御できない結果を根拠に代理人を責めることを分析しました。そのため、業績評価、投資判断、スポーツ監督の評価のように運の影響が大きい領域で結果バイアスがよく論じられます。この概念は基本的な帰属の誤りやコントロールの錯覚とともに、判断の誤りを理解するのに使われます。
よくある質問
- 結果バイアスを簡単に言うと?
- 決定がよかったかどうかを、決めたときの情報や理由ではなく、結果がうまくいったかどうかだけで判断する傾向です。運よくうまくいった決定は賢明、運悪く失敗した決定は愚かだと見なしてしまいます。
- 結果バイアスと後知恵バイアスはどう違いますか?
- 後知恵バイアスは、結果を知った後に「そうなると思っていた」とその結果の起こりやすさを過大評価する現象です。結果バイアスは、結果によって決定の質や決定者の能力を違って評価する現象です。両者は一緒に現れやすいものの、評価の対象が異なります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Baron, J., & Hershey, J. C. (1988). Outcome bias in decision evaluation. Journal of Personality and Social Psychology, 54(4), 569–579. 結果バイアスという名前をつけた古典的な実験で、概念の出発点を知りたいときにまず読むと役立ちます。
- Fischhoff, B. (1975). Hindsight ≠ foresight: The effect of outcome knowledge on judgment under uncertainty. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 1(3), 288–299. 結果を知ると判断がどう変わるかを示す研究で、結果バイアスと後知恵バイアスの関係を理解するのに参考になります。
- Lipshitz, R. (1989). "Either a medal or a corporal": The effects of success and failure on the evaluation of decision making and decision makers. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 44(3), 380–395. 軍の指揮官の決定を評価する実験を扱っており、組織が成果だけで人を評価するときの問題を考えるのに参考になります。
- Allison, S. T., Mackie, D. M., & Messick, D. M. (1996). Outcome biases in social perception: Implications for dispositional inference, attitude change, stereotyping, and social behavior. Advances in Experimental Social Psychology, 28, 53–93. 結果バイアスが性格の推論やステレオタイプにまで広がる過程を幅広くまとめたレビューで、社会心理学への広がりがわかります。
- Mazzocco, P. J., Alicke, M. D., & Davis, T. L. (2004). On the robustness of outcome bias: No constraint by prior culpability. Basic and Applied Social Psychology, 26(2–3), 131–146. 行為者の落ち度を事前に知らせても結果バイアスが消えないという結果で、このバイアスの頑健さがわかります。
- Gino, F., Shu, L. L., & Bazerman, M. H. (2010). Nameless + harmless = blameless: When seemingly irrelevant factors influence judgment of (un)ethical behavior. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 111(2), 93–101. 同じ非倫理的行為でも結果が悪いとより非難されるという実験で、倫理判断における結果バイアスを見るのに参考になります。
- Cushman, F. (2008). Crime and punishment: Distinguishing the roles of causal and intentional analyses in moral judgment. Cognition, 108(2), 353–380. 意図は「善悪」の判断に、結果は「処罰」の判断により大きく影響するという区別がわかり、道徳判断と結びつけて理解するのに役立ちます。
- Gurdal, M. Y., Miller, J. B., & Rustichini, A. (2013). Why blame? Journal of Political Economy, 121(6), 1205–1247. 経済学の実験で、代理人を結果によって責める行動を分析しており、経営・経済の観点が気になるときに参考になります。
