制度の背景
韓国は1988年に国民年金を導入しましたが、所得代替率は段階的に下がる設計でした。そこで政府は1994年に「個人年金貯蓄」を設け、自ら老後に備える人に所得控除を与え始めます。2001年に「年金貯蓄」へ改編、2014年には所得控除から税額控除に変わり高所得者に偏った恩恵が是正されました。2017年以降は保険・信託・ファンド間の口座移管が容易になり、2023年の税制改正で控除上限が年金貯蓄600万ウォン、IRP合算900万ウォンに引き上げられました。OECDで最も高い高齢者の貧困率が、こうした改正の背景にあります。
税制優遇と商品の種類
年間拠出額のうち600万ウォンまで、総給与5,500万ウォン以下なら16.5%、それを超えると13.2%が年末調整で戻ります。運用益には受け取りまで課税されない「課税繰り延べ」効果があり、複利が効きやすくなります。元本保証型の年金貯蓄保険と、自分でインデックスファンドやETFを選べる年金貯蓄ファンドがあり、手数料が低く積立投資しやすいファンド型への移管が増えています。日本のiDeCoやNISAと比べると、「拠出時の税額控除+受取時の低率課税」という組み合わせが特徴です。
受け取りと解約の注意点
加入5年以上・55歳以降に年金として受け取れば、年齢に応じて5.5%(70歳未満)〜3.3%(80歳以上)の年金所得税だけで済みます。ただし私的年金の受取額が年1,500万ウォンを超えると、総合課税か16.5%の分離課税を選ぶ必要があります。中途解約すると控除を受けた元本と運用益に16.5%の「その他所得税」がかかり、恩恵を返すことになるため、急な出費にはISAなど別の口座で備えるのが賢明です。
よくある質問
- 年金貯蓄とIRP、どちらを先に?
- 一般的には運用の自由度が高い年金貯蓄600万ウォンを先に満たし、余裕があればIRPに300万ウォンを足します。
- 外国人も加入できますか?
- 韓国で課税対象の所得がある居住者なら加入でき、控除も受けられます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- 소득세법 제59조의3(연금계좌세액공제), 제20조의3(연금소득).
- 금융감독원. (2024). 연금저축 통합공시 및 금융소비자 정보포털 '파인'.
- OECD. (2023). Pensions at a Glance 2023: OECD and G20 Indicators. OECD Publishing.
