制度の背景
相続は財産だけでなく借金も引き継ぐ「包括承継」が原則です。ローマ法以来、大陸法系は望まない借金を背負わずに済むよう放棄と限定承認の制度を設け、1960年施行の韓国民法も、日本民法と同様これを受け継ぎました。1998年、韓国の憲法裁判所は借金の多さを知らずに3か月が過ぎると単純承認とみなされる規定を財産権侵害として憲法不合致と判断し、2002年の民法改正で「特別限定承認」が新設されました。2022年には未成年で相続した人が成年後に改めて限定承認できる規定も加わりました。
手続きと効果
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭法院に、相続開始を知った日から3か月以内に相続放棄の審判を請求します。家族関係証明書、基本証明書、抹消者抄本、印鑑証明書などが必要で、電子訴訟でも可能です。受理されると相続開始時にさかのぼって相続人でなかったことになります。ただし放棄前に相続財産を処分・隠匿すると単純承認とみなされ放棄が無効になりうるため、預金の引き出しや車の売却には注意が必要です。受取人指定のある死亡保険金は相続財産ではないため、放棄しても受け取れます。
次順位相続と限定承認
第1順位の子が全員放棄すると、借金は孫、続いて親・兄弟姉妹など次順位の相続人に移ります。家族全員が放棄する手間を避けるため、第1順位のうち1人が限定承認をし、残りが放棄する方法がよく使われます。限定承認は相続した財産の範囲でのみ借金を返す制度で、財産と借金の額が不明なときに有利です。期限を過ぎて債権者の支払命令を受けたら、2週間の異議申立期間を守ることが重要です。
よくある質問
- 放棄すると死亡保険金も受け取れない?
- 受取人が本人に指定された保険金は固有財産なので、放棄しても受け取れます。
- 3か月を過ぎたら?
- 借金が財産より多いことを重大な過失なく知らなかった場合、知った日から3か月以内に特別限定承認を申し立てられます。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- 민법 제1019조(승인, 포기의 기간), 제1041조~제1044조(포기).
- 대법원 2005. 7. 22. 선고 2003다43681 판결 등.
- 법원 전자소송 「상속포기 심판청구」 안내.
