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自己組織化

🔬 自然科学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
自己組織化とは、外部から設計図や指示を与えなくても、システムの構成要素が局所的な規則に従って相互作用するうちに、全体レベルの秩序や構造がひとりでに生まれる過程を指します。
目次
  1. 1. 概念の起源
  2. 2. 物理・化学・生物の自己組織化
  3. 3. 臨界性、計算、社会
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念の起源

「自己組織化」という言葉は、サイバネティクスの研究者W・ロス・アシュビー(1947年)が初めて用いました。彼はシステムが外部の介入なしに自らより組織化された状態へ移れるかを問いました。ハインツ・フォン・フェルスター(1960年)は、システムが周囲の雑音やエネルギーを利用して秩序を高めるという「雑音からの秩序」の原理を示しました。核心は、中央の設計者がおらず各要素が隣とだけ相互作用しているのに、全体のパターンが現れるという点です。これは創発と密接に関わり、創発が新たに現れた性質に注目するのに対し、自己組織化はその秩序がつくられる過程に注目します。

物理・化学・生物の自己組織化

孤立系ではエントロピーが増えて無秩序になりますが、イリヤ・プリゴジンは、エネルギーと物質が絶えず出入りする非平衡の開放系では対流セルや化学振動のような秩序ある「散逸構造」が生じうることを示し(ニコリスとプリゴジン、1977年)、1977年にノーベル化学賞を受賞しました。ヘルマン・ハーケン(1977年)は、レーザーのように多数の要素が少数の「秩序変数」にそろう原理をシナジェティクスとしてまとめました。アラン・チューリング(1952年)は二つの化学物質の反応と拡散だけで斑点や縞が生じうるモデルを示し、近藤と三浦(2010年)は魚の模様などでこれを確かめた研究を整理しました。カマジンら(2001年)はアリの道づくり、シロアリの塚、ホタルの同期発光を生物集団の自己組織化として分析し、カウフマン(1993年)は進化において自然選択とともに自己組織化が秩序の源泉だと主張しました。

臨界性、計算、社会

バク、タン、ヴィーゼンフェルト(1987年)は、砂山のようにシステムが自ら臨界状態に向かい、規模がべき乗則に従う雪崩を起こすという「自己組織化臨界」を提唱しました。マトゥラーナとヴァレラ(1980年)は、生物が自らの構成要素を自ら生み出す「オートポイエーシス」の概念で生命を定義しました。工学では、コホネン(1982年)の自己組織化マップのようにデータから自ら構造を学習するニューラルネットワークや、ホワイトサイズとグジボウスキ(2002年)が整理した分子の自己集合が応用例です。社会科学では、ハイエク(1973年)が市場や言語のように誰も設計しなかったのに生まれた「自生的秩序」を強調し、これは見えざる手やシェリングの分居モデルなどの議論とつながります。ただし「自己組織化」という言葉がメカニズムを説明しないまま使われることも多く、具体的なモデルと測定が必要だという批判もあります。

よくある質問

自己組織化と創発は同じ概念ですか?
重なりますが焦点が異なります。創発は全体レベルで新たに現れた性質を、自己組織化は外部の統制なしにそうした秩序が形成される過程を強調します。
自己組織化は熱力学第二法則に反しませんか?
反しません。開放系では外部へエントロピーを排出しながら内部の秩序を高められるため、全体のエントロピーはやはり増加しています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Ashby, W. R. (1947). Principles of the self-organizing dynamic system. Journal of General Psychology, 37(2), 125–128.
  2. Turing, A. M. (1952). The chemical basis of morphogenesis. Philosophical Transactions of the Royal Society B, 237(641), 37–72.
  3. von Foerster, H. (1960). On self-organizing systems and their environments. In M. C. Yovits & S. Cameron (Eds.), Self-Organizing Systems (pp. 31–50). London: Pergamon.
  4. Nicolis, G., & Prigogine, I. (1977). Self-Organization in Nonequilibrium Systems. New York: Wiley.
  5. Haken, H. (1977). Synergetics: An Introduction. Berlin: Springer.
  6. Maturana, H. R., & Varela, F. J. (1980). Autopoiesis and Cognition. Dordrecht: Reidel.
  7. Kohonen, T. (1982). Self-organized formation of topologically correct feature maps. Biological Cybernetics, 43(1), 59–69.
  8. Bak, P., Tang, C., & Wiesenfeld, K. (1987). Self-organized criticality: An explanation of the 1/f noise. Physical Review Letters, 59(4), 381–384.
  9. Kauffman, S. A. (1993). The Origins of Order. New York: Oxford University Press.
  10. Camazine, S., Deneubourg, J.-L., Franks, N. R., Sneyd, J., Theraulaz, G., & Bonabeau, E. (2001). Self-Organization in Biological Systems. Princeton, NJ: Princeton University Press.
  11. Kondo, S., & Miura, T. (2010). Reaction-diffusion model as a framework for understanding biological pattern formation. Science, 329(5999), 1616–1620.
  12. Hayek, F. A. (1973). Law, Legislation and Liberty, Vol. 1: Rules and Order. Chicago: University of Chicago Press.
  13. Whitesides, G. M., & Grzybowski, B. (2002). Self-assembly at all scales. Science, 295(5564), 2418–2421.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。