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没個性化効果の社会的アイデンティティ・モデル(SIDE)

🎨 メディア・文化・芸術 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
没個性化効果の社会的アイデンティティ・モデル(SIDE)は、匿名性が自己意識を失わせて人を無責任で衝動的にするという古典的な没個性化理論に対し、匿名性は個人的アイデンティティの代わりに集団アイデンティティを際立たせ、その集団の規範により強く従わせると考える理論です。スティーヴン・ライカー、ラッセル・スピアーズ、トム・ポストメスが1995年に体系化しました。群衆行動やオンライン・コミュニケーションの研究で広く使われています。
目次
  1. 1. 古典的な没個性化理論への批判
  2. 2. SIDEモデルの二つの側面
  3. 3. オンライン・コミュニケーションへの拡張
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

古典的な没個性化理論への批判

ジンバルドー(1969年)に代表される古典的な没個性化理論は、群衆の中の匿名性が自己意識と自己統制を弱め、反社会的で衝動的な行動を生むと考えました。ライカー(1984年)はこれに疑問を投げかけ、匿名の状況で人々はでたらめに行動するのではなく、その場で際立った集団の規範に従うことを示しました。ポストメスとスピアーズ(1998年)は60の研究のメタ分析で、没個性化が一般に反規範的行動を増やすという証拠は弱く、むしろ状況の規範への同調が強まるという結果を得ました。

SIDEモデルの二つの側面

ライカーら(1995年)は社会的アイデンティティ理論に基づいてSIDEモデルをまとめました。認知的側面では、集団成員が互いを個人として見分けられないと個人差がぼやけ、共有された集団アイデンティティがより際立って集団規範に従うようになります。戦略的側面では、匿名性は外部の権力者に身元を知られないようにするため、罰を恐れずに集団規範を表現できるようにします。反対に外集団に身元が知られると、罰せられうる行動は減ります。つまり匿名性の効果は、誰に何が見えるかによって変わります。

オンライン・コミュニケーションへの拡張

スピアーズとリー(1994年)は、コンピュータを介したコミュニケーションの匿名性が社会的手がかりを消して平等なコミュニケーションをもたらすという楽観論を批判し、むしろステレオタイプや集団の境界が強まりうると主張しました。ポストメスら(1998年)はオンラインで匿名性が社会的境界を崩すよりも強める「SIDE効果」を説明し、ポストメスら(2001年)は匿名条件のオンライン集団が最初に与えられた規範により強く従い、その規範が広がるという実験結果を報告しました。このモデルは、オンライン・コミュニティでの集団極化やヘイトスピーチ、集会やデモのような群衆行動を理解するのに使われています。

よくある質問

SIDEモデルを簡単に言うと?
匿名になると好き勝手にふるまうのではなく、個人がぼやけて「私たちの集団」が際立ち、その集団のルールにより従うようになるという理論です。
古典的な没個性化理論と何が違いますか?
古典的理論は匿名性が統制を失わせ反社会的行動を生むとしましたが、SIDEは匿名性が集団規範への同調を強め、その規範は良いものにも悪いものにもなりうると考えます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Zimbardo, P. G. (1969). The human choice: Individuation, reason, and order versus deindividuation, impulse, and chaos. In W. J. Arnold & D. Levine (Eds.), Nebraska Symposium on Motivation (Vol. 17, pp. 237–307). Lincoln: University of Nebraska Press. SIDEモデルが批判した古典的な没個性化理論の代表的文献で、論争の出発点を見るのに参考になります。
  2. Reicher, S. D. (1984). Social influence in the crowd: Attitudinal and behavioural effects of de-individuation in conditions of high and low group salience. British Journal of Social Psychology, 23(4), 341–350. 匿名性が集団アイデンティティが際立つときに集団規範への同調を強めることを示した初期の実験で、モデルの根を見るのに役立ちます。
  3. Reicher, S. D., Spears, R., & Postmes, T. (1995). A social identity model of deindividuation phenomena. European Review of Social Psychology, 6(1), 161–198. SIDEモデルを体系的にまとめた中心的文献で、認知的・戦略的側面を見るのに参考になります。
  4. Spears, R., & Lea, M. (1994). Panacea or panopticon? The hidden power in computer-mediated communication. Communication Research, 21(4), 427–459. オンライン・コミュニケーションの匿名性が平等をもたらすという楽観論を批判した論文で、メディア研究への応用を見るのに役立ちます。
  5. Postmes, T., & Spears, R. (1998). Deindividuation and antinormative behavior: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 123(3), 238–259. 没個性化が反規範的行動を増やすという証拠は弱いとしたメタ分析で、実証的根拠を見るのに参考になります。
  6. Postmes, T., Spears, R., & Lea, M. (1998). Breaching or building social boundaries? SIDE-effects of computer-mediated communication. Communication Research, 25(6), 689–715. オンラインの匿名性が集団の境界を崩すよりも強めうることを扱った論文で、インターネット上の集団現象を見るのに役立ちます。
  7. Postmes, T., Spears, R., Sakhel, K., & de Groot, D. (2001). Social influence in computer-mediated communication: The effects of anonymity on group behavior. Personality and Social Psychology Bulletin, 27(10), 1243–1254. 匿名条件で集団規範により強く従うことを示した実験で、モデルの予測を確かめるのに参考になります。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。