世界をつくる17種類の粒子
標準模型によれば、すべての物質は6種類のクォークと6種類のレプトンでできています。陽子はアップクォーク2個とダウンクォーク1個、中性子はアップ1個とダウン2個からなり、原子の周りを回る電子はレプトンです。クォークとレプトンは質量の異なる三つの「世代」に分かれ、身の回りの物質はほぼすべて第1世代でできています。これに力を伝えるゲージ粒子4種類と、ほかの粒子に質量を与えるヒッグス粒子を加えた17種類です。それぞれに電荷が逆の反粒子もあります。
| 分類 | 粒子 | 備考 |
|---|---|---|
| クォーク(6) | アップ、ダウン、チャーム、ストレンジ、トップ、ボトム | 強い力を感じ、陽子・中性子をつくる |
| レプトン(6) | 電子、ミューオン、タウ、3種類のニュートリノ | 強い力を感じない |
| ゲージ粒子(4) | 光子、グルーオン、Wボソン、Zボソン | 電磁気力・強い力・弱い力を伝える |
| スカラー粒子(1) | ヒッグス粒子 | 2012年にCERNで発見 |
どのように完成したか
1961年にシェルドン・グラショー、1967年にスティーブン・ワインバーグとアブドゥス・サラムが、電磁気力と放射性崩壊を起こす弱い力をまとめる「電弱理論」をつくりました。1964年にはマレー・ゲルマンとジョージ・ツワイクが数百種類のハドロンを少数のクォークの組み合わせで説明し、1973年にデビッド・グロス、フランク・ウィルチェック、デビッド・ポリツァーがクォークを結びつける強い力の理論(量子色力学)を完成させました。なお、クォークが3世代あることを予言した小林誠・益川敏英は2008年にノーベル賞を受けています。1983年にW・Zボソン、1995年にトップクォーク、2000年にタウニュートリノが見つかり、2012年にCERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が最後のピースであるヒッグス粒子を発見しました。
標準模型の限界
それでも標準模型は「究極の理論」ではありません。四つの基本的な力のうち重力を含まず、重力波やブラックホールを説明する一般相対性理論とは別々のままです。宇宙の物質の約85%を占める暗黒物質や、宇宙の膨張を加速させる暗黒エネルギーに当たる粒子もありません。もともと質量ゼロとされたニュートリノに実はごく小さな質量があること(1998年、スーパーカミオカンデ)も後から加える必要があり、ビッグバン後に物質が反物質より多く残った理由も十分には説明できません。物理学者たちは超対称性、大統一理論、超弦理論などでその先を探っています。
よくある質問
- 「模型」という言葉は、まだ証明されていないという意味ですか?
- いいえ。歴史的な名前で、数多くの実験で非常に精密に検証された理論です。ただ重力や暗黒物質を説明できないため、より大きな理論の一部と考えられています。
- 標準模型の素粒子は本当に17種類だけですか?
- 反粒子やクォーク・グルーオンの「色」を別々に数えれば増えますが、種類としてはクォーク6、レプトン6、ゲージ粒子4、ヒッグス1の17種類です。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Glashow, S. L. (1961). Partial-symmetries of weak interactions. Nuclear Physics, 22(4), 579–588.
- Weinberg, S. (1967). A model of leptons. Physical Review Letters, 19(21), 1264–1266.
- Gell-Mann, M. (1964). A schematic model of baryons and mesons. Physics Letters, 8(3), 214–215.
- Particle Data Group. (2024). Review of Particle Physics. Physical Review D, 110, 030001.
