歴史
1929年、デンマークのヘンリク・ダムは脂質を除いた餌で育てたひよこの血が止まりにくいことを発見し、1935年にその物質をドイツ語「凝固(Koagulation)」の頭文字からビタミンKと名づけました。米国のエドワード・ドイジーが構造を決定し、二人は1943年にノーベル賞を受けています。1940年代にはウィスコンシンで、腐ったスイートクローバーを食べた牛が出血死する原因物質ジクマロールがビタミンKを妨げることが分かり、これをもとに殺鼠剤であり抗凝固薬でもあるワルファリンが生まれました。
働きと食品
肝臓はビタミンKを使ってプロトロンビンなどの凝固因子をつくり、骨ではオステオカルシンを活性化してカルシウムが骨に沈着するのを助けます。K1(フィロキノン)はほうれん草、ケール、ブロッコリー、小松菜などの緑の野菜に、K2(メナキノン)は納豆やチーズ、腸内細菌から得られます。脂溶性なので油と一緒に摂ると吸収されやすくなります。健康な大人の欠乏はまれですが、脂肪の吸収障害や長期の抗生物質服用で起こることがあります。
ワルファリンと新生児
ワルファリンはビタミンKの働きを抑えて効くため、服用中は野菜を断つ必要はありませんが、量を急に増減させず一定に保つことが大切です。特に納豆は腸内でK2がつくられ続けるため、日本では服用中は避けるよう指導されます。青汁やサプリも医師に相談しましょう。新生児は胎盤から受け取る量が少なく腸内細菌もいないため出血の危険があり、出生後にビタミンKを投与するのが標準です(日本ではK2シロップの内服)。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- ワルファリン服用中は野菜を食べてはいけない?
- いいえ。断つより毎日同じくらいの量を食べ続けることが大切です。ただし納豆は避けます。
- 新生児のビタミンKは必要?
- はい。まれでも命にかかわる頭蓋内出血を防ぐため、世界的に推奨されています。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Dam, H. (1935). The antihaemorrhagic vitamin of the chick. Biochemical Journal, 29(6), 1273–1285.
- American Academy of Pediatrics Committee on Fetus and Newborn. (2003). Controversies concerning vitamin K and the newborn. Pediatrics, 112(1), 191–192.
- Institute of Medicine. (2001). Dietary Reference Intakes: Vitamin K. National Academies Press.
