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ムカデゲーム

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ムカデゲームとは、ロバート・ローゼンタールが1981年に提示したゲーム理論のモデルです。2人のプレイヤーが交互に、積み上がった賞金をいま受け取るか、相手に回してさらに増やすかを選びます。長く続くほど双方が得をしますが、後ろ向き帰納法を当てはめると、最初のプレイヤーがすぐに賞金を受け取ることが唯一の均衡となり、合理性と協力の緊張関係を浮き彫りにします。多数の選択点が脚のように並ぶ形からこの名がつきました。
目次
  1. 1. ゲームの構造と後ろ向き帰納法
  2. 2. 合理性の共有知識をめぐる論争
  3. 3. 実験による証拠
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ゲームの構造と後ろ向き帰納法

ローゼンタール(1981年)のムカデゲームでは、各プレイヤーは自分の番に「取る」か「回す」かを選び、回すたびに賞金は増えますが、取った側が大きな取り分を得ます。最後の手番のプレイヤーは当然取るので、その直前のプレイヤーも先に取るほうがよく、この推論を最初までさかのぼると、ゲームは初手で終わります。これはゼルテン(1965年)が定式化した部分ゲーム完全均衡の帰結であり、ゼルテン(1978年)の「チェーンストア・パラドックス」と同系統の問題です。囚人のジレンマと同様に、個人の合理性が双方にとって不利な結果をもたらします。

合理性の共有知識をめぐる論争

ビンモア(1987年)とレニー(1992年)は、最初のプレイヤーが回した時点で「相手は合理的だ」という前提そのものが崩れるため、その後の推論をそのまま適用することはできないと指摘しました。これに対しオーマン(1995年)は、合理性が共有知識であれば、完全情報ゲームでは必ず後ろ向き帰納法の結果が導かれることを証明しました。クレプス、ミルグロム、ロバーツ、ウィルソン(1982年)は、相手が協力的なタイプである可能性がわずかでもあれば、合理的なプレイヤーがしばらく協力することが均衡になりうると示しており、この評判の論理はムカデゲームでの協力の説明にも用いられます。

実験による証拠

マッケルビーとパルフリー(1992年)の実験では、初手で終わるケースはごくまれで、大半のプレイヤーは何度か回したあとで賞金を取りました。彼らはこれを、一部の利他的なプレイヤーの存在と誤りを組み込んだモデルで説明しています。賞金総額が一定の定和版では、理論に近い結果が得られました(フェイら、1996年)。ナーゲルとタン(1998年)は、標準形に置き換えても早期終了はまれだと報告しています。パラシオス=ウエルタとボリジ(2009年)はチェスの強豪がほぼ初手でゲームを終えると報告しましたが、レヴィット、リスト、サドフ(2011年)はチェスのプレイヤーも大半は理論どおりには行動しないと反論しました。

よくある質問

ムカデゲームを簡単に言うと?
2人が交互にお金を回して増やしていき、どちらもいつでも受け取れるゲームです。長く続くほど双方が得をしますが、理論上は最初にすぐ受け取るのが合理的だという結論になります。
実際の人はどう行動しますか?
実験では初手ですぐ終える人は少なく、多くは何度か回してから受け取ります。相手への信頼や、協力的な人もいるだろうという期待が影響していると説明されています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Rosenthal, R. W. (1981). Games of perfect information, predatory pricing and the chain-store paradox. Journal of Economic Theory, 25(1), 92–100.
  2. Selten, R. (1965). Spieltheoretische Behandlung eines Oligopolmodells mit Nachfrageträgheit. Zeitschrift für die gesamte Staatswissenschaft, 121, 301–324, 667–689.
  3. Selten, R. (1978). The chain store paradox. Theory and Decision, 9(2), 127–159.
  4. Binmore, K. (1987). Modeling rational players: Part I. Economics and Philosophy, 3(2), 179–214.
  5. Aumann, R. J. (1995). Backward induction and common knowledge of rationality. Games and Economic Behavior, 8(1), 6–19.
  6. Reny, P. J. (1992). Rationality in extensive-form games. Journal of Economic Perspectives, 6(4), 103–118.
  7. Kreps, D. M., Milgrom, P., Roberts, J., & Wilson, R. (1982). Rational cooperation in the finitely repeated prisoners' dilemma. Journal of Economic Theory, 27(2), 245–252.
  8. McKelvey, R. D., & Palfrey, T. R. (1992). An experimental study of the centipede game. Econometrica, 60(4), 803–836.
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  10. Palacios-Huerta, I., & Volij, O. (2009). Field centipedes. American Economic Review, 99(4), 1619–1635.
  11. Levitt, S. D., List, J. A., & Sadoff, S. E. (2011). Checkmate: Exploring backward induction among chess players. American Economic Review, 101(2), 975–990.
  12. Nagel, R., & Tang, F. F. (1998). Experimental results on the centipede game in normal form. Journal of Mathematical Psychology, 42(2–3), 356–384.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。