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文化資本

👥 社会学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
文化資本とは、フランスの社会学者ピエール・ブルデューが提唱した概念で、教養・趣味・話し方・学歴のように社会的に認められ、利益に変換されうる文化的な資源を指します。
目次
  1. 1. 概念と三つの形態
  2. 2. 教育と階級の再生産
  3. 3. 実証研究と批判
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念と三つの形態

ブルデューは、社会的な位置はお金(経済資本)だけでなく、人脈(社会関係資本)と文化資本によっても決まると考えました。1986年の論文「資本の諸形態」で、彼は文化資本を三つに分けています。一つ目は、話し方・知識・鑑賞力のように長い時間をかけて心身にしみ込んだ「身体化された」文化資本で、家庭での社会化を通じて受け継がれ、ハビトゥスと深く結びついています。二つ目は本・絵画・楽器のようにモノとして存在する「客体化された」文化資本、三つ目は学位や資格のように制度が公式に認めた「制度化された」文化資本です。各資本は互いに変換でき、文化資本は個人の才能のように見えるため不平等を正当化する働きをもつ、とブルデューは論じました。

教育と階級の再生産

ブルデューとジャン=クロード・パスロンは『遺産相続者たち』(1964年)と『再生産』(1970年)で、学校は能力を中立に評価しているように見えて、実際には上層家庭の言葉づかいや教養を基準にしているため、その文化を受け継いだ生徒が有利になると主張しました。『ディスタンクシオン』(1979年)では、音楽・食・スポーツの好みが階級によって体系的に分かれ、趣味が地位を区別する手段になっていることを大規模調査で示しています。これは学校が能力に応じて人を配分するという機能主義への葛藤理論からの反論であり、家庭背景の影響を強調した米国のコールマン・レポート(1966年)とも重なります。

実証研究と批判

ポール・ディマジオ(1982年)は米国の高校生の芸術・文化活動への参加が成績と関連していることを示し、アネット・ラロー(2003年)は中流家庭の「計画的な育成」と労働者家庭の「自然な成長」という子育ての違いが、子どもが制度とやりとりする力の差を生むと分析しました。一方、ミシェル・ラモンとラロー(1988年)は概念の定義があいまいだと指摘し、リチャード・ピーターソンとロジャー・カーン(1996年)は現代の上層は高級文化だけでなく幅広いジャンルを楽しむ「文化的雑食性」を示すと報告しています。2013年の英国大階級調査は経済・社会・文化資本を合わせて測定し、新しい階級モデルを提示しました。この概念は学歴シグナルや社会階層研究とともに、教育・消費・文化政策をめぐる議論で広く使われています。

よくある質問

文化資本と社会関係資本の違いは?
文化資本は知識・趣味・学位といった文化的な資源で、社会関係資本は人脈や集団への所属から生まれる資源です。ブルデューはどちらも経済資本に変換できると考えました。
文化資本はお金で買える?
本や絵画のような客体化された文化資本は買えますが、それを理解し楽しむ身体化された力には長い学習と社会化が必要で、すぐには買えないとブルデューは説明しています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Bourdieu, P., & Passeron, J.-C. (1964). Les héritiers: les étudiants et la culture. Paris: Minuit.
  2. Coleman, J. S., et al. (1966). Equality of Educational Opportunity. Washington, DC: U.S. Government Printing Office.
  3. Bourdieu, P., & Passeron, J.-C. (1970). La reproduction: éléments pour une théorie du système d'enseignement. Paris: Minuit.
  4. Bourdieu, P. (1979). La distinction: critique sociale du jugement. Paris: Minuit.
  5. DiMaggio, P. (1982). Cultural capital and school success: The impact of status culture participation on the grades of U.S. high school students. American Sociological Review, 47(2), 189–201.
  6. Bourdieu, P. (1986). The forms of capital. In J. G. Richardson (Ed.), Handbook of Theory and Research for the Sociology of Education (pp. 241–258). New York: Greenwood.
  7. Lamont, M., & Lareau, A. (1988). Cultural capital: Allusions, gaps and glissandos in recent theoretical developments. Sociological Theory, 6(2), 153–168.
  8. Peterson, R. A., & Kern, R. M. (1996). Changing highbrow taste: From snob to omnivore. American Sociological Review, 61(5), 900–907.
  9. Lareau, A. (2003). Unequal Childhoods: Class, Race, and Family Life. Berkeley: University of California Press.
  10. Savage, M., et al. (2013). A new model of social class? Findings from the BBC's Great British Class Survey experiment. Sociology, 47(2), 219–250.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。