発見と公式
メルケル(1885年)はすでに19世紀に、選択肢が増えるほど反応時間は長くなるが、その増え方はしだいに小さくなることを観察していました。ヒック(1952年)はシャノン(1948年)の情報理論を応用してこの関係をRT = b·log₂(n+1)と定式化しました。+1は刺激が現れるかどうかについての不確実性を反映しています。ハイマン(1953年)は選択肢の数を一定にしたまま刺激の出現確率や系列的依存性を変える実験により、反応時間が選択肢の数ではなく伝達される平均情報量(ビット)に線形に比例することを示しました。これらの結果により、人間を一定の容量をもつ情報伝達チャネルとみなす見方が定着しました。
情報処理の観点と関連する法則
ヒックの法則は、同じ時期にフィッツ(1954年)が運動の難しさを情報量で表したフィッツの法則とともに、人間の遂行を情報理論で説明した代表例です。両法則は処理時間が情報量に対して対数的に増加するという形式を共有し、感覚の強さに関するウェーバー=フェヒナーの法則とも比較されます。タイクナーとクレブス(1974年)は視覚的な選択反応時間の研究を総合し、法則の傾きが刺激や課題の条件によって変わることを整理しました。ジェンセン(1987年)は、ヒック・パラダイムにおける反応時間の傾きの個人差が知能検査の得点と関連するという研究を検討しました。
例外と認知モデル
モウブレイとローズ(1959年)は、十分な練習の後には選択肢の数による反応時間の増加がほとんど消えうることを示し、レナード(1959年)は、振動刺激に指で反応する場合のように刺激と反応の適合性がきわめて高いと傾きが平坦になると報告しました。ロングストレス、エル=ザッハール、アルコーン(1985年)も法則の例外を探りました。理論的には、アッシャーとマクレランド(2001年)の漏れのある競合累積器モデルのように、複数の選択肢の証拠が競合的に蓄積されるモデルが対数関係を再現し、シュナイダーとアンダーソン(2011年)は記憶検索に基づくモデルを提案しました。プロクターとシュナイダー(2018年)はヒックの法則に関する60年以上の研究を総合的に検討しました。
よくある質問
- ヒックの法則を簡単に言うと?
- 選べる選択肢が多いほど決めるのに時間がかかりますが、その増え方はゆるやかで、選択肢が2倍になるたびにほぼ一定の時間ずつ増えるという法則です。
- ヒックの法則は常に成り立ちますか?
- いいえ。十分に練習した場合や、刺激と反応がきわめて自然に対応している場合には、選択肢の数による反応時間の増加が大きく減るか、消えることがあります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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