パーソナリティ理論とは?
パーソナリティとは、時間や状況を超えて比較的一貫している思考・感情・行動のパターンを指します。ゴードン・オールポート(1937年)はこれを「環境への独自の適応を決定する、個人内部の精神身体的システムの力動的組織」と定義しました。パーソナリティ理論は、こうした個人差が何から成り、どこから生じ、変化しうるのかを説明しようとします。
主なアプローチ
精神分析
フロイトは、イド・自我・超自我の葛藤、無意識、幼児期の経験によってパーソナリティを説明しました。ユング、アドラー、エリクソンなどの新フロイト派は、社会的要因や生涯にわたる発達をより重視しました。
特性論
特性論はパーソナリティを測定可能な次元で記述します。オールポートとオドバートは英語の辞書から約18,000語のパーソナリティ関連語を抽出し、キャッテルは因子分析によって16因子を導き、アイゼンクは外向性、神経症傾向、精神病傾向を提唱しました。今日の主流モデルはビッグファイブ(開放性、誠実性、外向性、協調性、神経症傾向)で、コスタとマックレーのNEO尺度で標準化されています。
人間性アプローチ
ロジャーズとマズローは人間を成長志向の存在とみなし、自己概念と実現傾向をパーソナリティの中心に置きました。
社会的認知アプローチ
バンデューラは、個人・行動・環境の相互決定論と自己効力感を提唱しました。行動は状況によって大きく変わるというウォルター・ミシェルの1968年の批判は「人か状況か」論争を引き起こしました。彼はのちに、パーソナリティを安定した「もし〜なら〜」のパターンとして捉える認知・感情パーソナリティ・システム(CAPS)を提唱しました。
比較
| アプローチ | パーソナリティの核心 | 代表的な方法 |
|---|---|---|
| 精神分析 | 無意識の葛藤 | 事例研究、投影法検査 |
| 特性論 | 安定した特性の次元 | 質問紙、因子分析 |
| 人間性 | 自己概念、成長動機 | カウンセリング、Qソート |
| 社会的認知 | 信念、期待、状況 | 実験、観察 |
批判と論争
- 精神分析の主張は実証的に検証しにくい。
- 特性モデルは、人がなぜ異なるかよりも、どのように異なるかの記述に優れている。
- 双生児研究ではパーソナリティ特性の遺伝率はおおむね40〜50%と推定され、遺伝と環境の両方の影響が示されている。
関連項目: 遺伝と環境の論争
参考文献
- Allport, G. W. (1937). Personality: A Psychological Interpretation. Holt.
- Eysenck, H. J. (1947). Dimensions of Personality. Routledge & Kegan Paul.
- Mischel, W. (1968). Personality and Assessment. Wiley.
- Mischel, W., & Shoda, Y. (1995). A cognitive-affective system theory of personality. Psychological Review, 102(2), 246-268.
- Costa, P. T., & McCrae, R. R. (1992). Revised NEO Personality Inventory (NEO PI-R) professional manual. PAR.
- Bouchard, T. J., & McGue, M. (2003). Genetic and environmental influences on human psychological differences. Journal of Neurobiology, 54(1), 4-45.