古典的実験
ヴァローネ、ロス、レッパー(1985年)は、1982年のレバノン・ベイルートの難民キャンプでの虐殺に関するアメリカのテレビ局の実際のニュース報道を、親イスラエル派と親アラブ派のスタンフォード大学生に見せました。二つの集団は同じ報道を見ながら、それぞれその報道が相手側に有利に偏っていると評価し、報道に含まれる自分の側に好意的な内容と非好意的な内容の量も異なって記憶していました。また、中立的な視聴者がこの報道を見れば相手側に意見が傾くだろうと予測しました。この研究は、ダートマス大学とプリンストン大学の学生が同じアメフトの試合映像を見て相手チームの反則をより多く見たと報告した、ハストーフとキャントリル(1954年)の「彼らは試合を見た」研究の伝統を受け継いでいます。
なぜ起こるのか
研究者たちはいくつかの説明を示しました。第一に、選択的記憶の説明は、人は自分の側に不利な内容をよりよく覚えていると考えます。第二に、選択的カテゴリー化の説明は、同じ内容でも党派的な人は「不利な内容」に分類すると考え、シュミット、ガンサー、リーブハート(2004年)はこの説明を支持する結果を報告しました。第三に、異なる基準の説明は、人は公正な報道なら自分の立場が正しいことを示すべきだと考えるため、バランスのとれた報道さえ偏向とみなすと説明します。ガンサーとシュミット(2004年)は、同じ文章でも学生のエッセイとして示すと効果がほとんど現れず、ニュース記事として示すと現れることを示し、ガンサーとリーブハート(2006年)は、メディアの到達範囲の広さが「他の人々が影響を受けるだろう」という懸念を強め、効果を強化すると分析しました。
広がりと意義
ハンセンとキム(2011年)のメタ分析は、敵対的メディア効果が多くの研究で比較的一貫して現れると報告しました。フェルドマン(2011年)は、意見色の強い党派的ニュースでも、人々が自分の側のメディアより相手側のメディアをより偏っていると知覚することを示しました。パーロフ(2015年)は30年間の研究をまとめ、この効果が報道への不信、政治的分極化、ソーシャルメディアでの情報消費と密接に結びついていると評価しました。この効果は、自分の立場が強いほど、争点への関与が高いほど大きくなる傾向があります。この概念は確証バイアス、動機づけられた推論、第三者効果とともに、メディアの受け手の知覚を理解するのに使われます。
よくある質問
- 敵対的メディア効果を簡単に言うと?
- 同じニュースを見ても、反対の立場にいる人々がどちらも「あのニュースは自分たちに不利に偏っている」と感じる現象です。バランスのとれた報道でも、強い立場をもつ人には偏って見えることがあります。
- 敵対的メディア効果と確証バイアスはどう違いますか?
- 確証バイアスは自分の考えに合う情報を探し、より信じる傾向です。敵対的メディア効果は同じ報道を自分の側に不利に偏っていると知覚する現象で、どちらも既存の立場が情報処理に影響するという点で関連していますが、焦点が異なります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Vallone, R. P., Ross, L., & Lepper, M. R. (1985). The hostile media phenomenon: Biased perception and perceptions of media bias in coverage of the Beirut massacre. Journal of Personality and Social Psychology, 49(3), 577–585. 敵対的メディア効果を初めて実験で示した原典で、概念の始まりを知りたいときにまず読むと役立ちます。
- Hastorf, A. H., & Cantril, H. (1954). They saw a game: A case study. Journal of Abnormal and Social Psychology, 49(1), 129–134. 同じアメフトの試合を二つの大学の学生がまったく違って見たという古典研究で、選択的知覚の根を理解するのに参考になります。
- Gunther, A. C., & Schmitt, K. (2004). Mapping boundaries of the hostile media effect. Journal of Communication, 54(1), 55–70. 同じ文章でもニュース記事に見えるときだけ敵対的に知覚されるという結果で、効果がいつ現れるかの境界がわかります。
- Gunther, A. C., & Liebhart, J. L. (2006). Broad reach or biased source? Decomposing the hostile media effect. Journal of Communication, 56(3), 449–466. メディアの「到達範囲の広さ」と「情報源」のどちらが効果を強めるかを分けて分析しており、原因をより深く理解するのに参考になります。
- Schmitt, K. M., Gunther, A. C., & Liebhart, J. L. (2004). Why partisans see mass media as biased. Communication Research, 31(6), 623–641. 党派的な人々がどんな内容を「偏向」と分類するかを分析しており、選択的カテゴリー化の説明がわかります。
- Hansen, G. J., & Kim, H. (2011). Is the media biased against me? A meta-analysis of the hostile media effect research. Communication Research Reports, 28(2), 169–179. 複数の研究を総合したメタ分析で、効果が実際にどれほど一貫して現れるかを確かめたいときに参考になります。
- Feldman, L. (2011). Partisan differences in opinionated news perceptions: A test of the hostile media effect. Political Behavior, 33(3), 407–432. 意見色の強いケーブルニュース時代の党派的知覚を扱っており、今日の政治ニュース環境での効果を理解するのに参考になります。
- Perloff, R. M. (2015). A three-decade retrospective on the hostile media effect. Mass Communication and Society, 18(6), 701–729. 30年間の研究を振り返った総合レビューで、理論の発展と残された課題が一目でわかります。
