歴史
1889年、ドイツのオスカー・ミンコフスキーとヨーゼフ・フォン・メーリングは、膵臓を取り除いた犬が糖尿病になることに気づき、膵臓が血糖を調節していることを突き止めました。1921年、カナダ・トロント大学のフレデリック・バンティングと医学生チャールズ・ベストはジョン・マクラウドの研究室で膵臓抽出物により糖尿病の犬の血糖を下げ、生化学者ジェームズ・コリップが抽出物を精製しました。1922年1月、14歳の少年レナード・トンプソンが初めて治療を受けて命をとりとめ、バンティングとマクラウドは1923年にノーベル賞を受賞しました。発見者たちは「インスリンは人類のもの」として特許を1ドルずつで大学に譲りました。
どう働くか
食後に血糖が上がるとβ細胞がインスリンを出し、筋肉や脂肪の細胞にブドウ糖を取り込ませ、肝臓には余った糖をグリコーゲンとして蓄えさせます。逆にグルカゴンやコルチゾールは血糖を上げてバランスをとります。1955年にフレデリック・サンガーがインスリンのアミノ酸配列を初めて決定してノーベル賞を受け、1978年にはジェネンテックが大腸菌でヒトインスリンをつくり、1982年に初の遺伝子組み換え医薬品として承認されました。
インスリン抵抗性と治療
1型糖尿病は免疫がβ細胞を壊すためインスリンがほとんど出ず、注射が欠かせません。2型糖尿病は肥満や運動不足などで細胞がインスリンに鈍くなるインスリン抵抗性から始まり、境界型(予備群)の段階で生活習慣を改めれば進行を遅らせられます。注射薬は効き方によって超速効型・速効型・中間型・持効型に分かれ、量が多すぎたり食事を抜いたりすると低血糖を起こすことがあります。治療の効果はHbA1cで確認します。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- インスリン注射を始めたら一生続けるのですか?
- 1型は一生必要ですが、2型は血糖が安定すれば飲み薬に切り替えたり減らしたりできる場合もあり、医師と相談して決めます。
- インスリン抵抗性はどう改善しますか?
- 減量、筋トレや有酸素運動、精製された炭水化物を控えること、十分な睡眠が効果的とされています。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Banting, F. G., Best, C. H., Collip, J. B., Campbell, W. R., & Fletcher, A. A. (1922). Pancreatic extracts in the treatment of diabetes mellitus. Canadian Medical Association Journal, 12(3), 141–146.
- Bliss, M. (1982). The Discovery of Insulin. University of Chicago Press.
- American Diabetes Association. (2024). Standards of Care in Diabetes—2024. Diabetes Care, 47(Suppl. 1).
