発見と普及の経緯
1968年、イラン出身の医師サミュエル・ラーバーが糖尿病患者の血液に異常に多いヘモグロビン分画を見つけ、1976年にはアンソニー・セラミらがそれが血糖管理の状態を映すことを示しました。それまでは測定時刻で大きく変わる血糖値や尿糖に頼るしかありませんでした。1993年の米国DCCT試験でHbA1cを下げると網膜症・腎症・神経障害が減ることが証明され、治療目標の柱になりました。日本では長くJDS値が使われていましたが、2012年に国際標準のNGSP値へ移行しています。
値の読み方
赤血球の寿命は約120日のため、HbA1cはおおむね過去1〜2か月(最大3か月)の平均血糖を反映します。日本糖尿病学会では6.5%以上を「糖尿病型」とし、血糖値と組み合わせて糖尿病を診断します。特定健診では5.6%以上が保健指導の対象、6.0〜6.4%は境界型の可能性が高い領域です。鉄欠乏性貧血では高めに、出血・溶血・妊娠・慢性腎臓病では低めに出ることがあり、血糖値や持続血糖測定と合わせて判断します。
下げるためにできること
体重を5〜7%減らし、週150分程度の速歩きと筋トレを続けると、境界型から糖尿病への進行リスクが大きく下がります。甘い飲み物や精製した炭水化物を控え、食物繊維の多い野菜から食べる「ベジファースト」も有効です。合併症予防の目標は7.0%未満が目安ですが、高齢者や低血糖を起こしやすい人はより緩やかな目標が設定されます。値はゆっくり動くため、通常は1〜3か月ごとに再検査します。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 食後でも検査できますか?
- はい。平均を反映するため、食事の影響はほとんど受けません。
- HbA1cが正常でも糖尿病のことはありますか?
- 貧血や腎臓病で低く出る場合や、初期で空腹時血糖や負荷試験に先に異常が出る場合があります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- American Diabetes Association. (2025). Standards of Care in Diabetes—2025: 2. Diagnosis and classification of diabetes. Diabetes Care, 48(Suppl 1).
- Nathan, D. M., et al. (2008). Translating the A1C assay into estimated average glucose values. Diabetes Care, 31(8), 1473–1478.
- 대한당뇨병학회. (2025). 당뇨병 진료지침 제9판.
