鉄欠乏性貧血とは
貧血は血液中のヘモグロビンが基準より低い状態で、その最も多い形が鉄欠乏性貧血です。鉄は酸素を運ぶヘモグロビンの中心的な材料なので、不足すると赤血球が小さく色の薄いものになり、全身への酸素供給が落ちます(Camaschella, 2015)。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
原因と症状は?
| 原因 | 例 |
|---|---|
| 鉄の喪失 | 過多月経、消化管出血(潰瘍・ポリープ・がん)、頻回の献血 |
| 必要量の増加 | 妊娠、成長期、激しい運動 |
| 摂取・吸収の不足 | 極端なダイエット、植物中心の食事、胃切除、セリアック病、ピロリ菌 |
疲れやすい、めまい、階段で息切れする、顔色が悪いといった症状がよく見られます。爪が割れやすくなったり、氷を無性にかじりたくなる(異食症)こともあります。検査ではヘモグロビンとともに、貯蔵鉄を反映するフェリチンが低くなります。
治療で気をつけることは?
治療は鉄の補充と原因の特定を同時に行うのが原則です。飲み薬の鉄剤は便秘、胃のむかつき、黒い便を起こすことがあり、近年の研究では1日に何回も飲むより1日1回または1日おきのほうが吸収と副作用の面で有利な可能性が示されています(Pasricha ほか, 2021)。ビタミンCと一緒にとると吸収がよくなり、お茶・コーヒー・カルシウムは吸収を妨げます。男性や閉経後の女性の鉄欠乏は消化管出血の可能性があるため、内視鏡などの原因検査が欠かせません。
よくある質問
- 鉄剤はいつまで飲めばいいですか?
- ヘモグロビンが正常に戻った後も、貯蔵鉄(フェリチン)を満たすために数か月続けるのが一般的です。期間は医師と相談してください。
- めまいがすれば貧血ですか?
- いいえ。起立性低血圧や耳の病気などめまいの原因はさまざまなので、血液検査で確かめるのがよいでしょう。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Camaschella, C. (2015). Iron-deficiency anemia. New England Journal of Medicine, 372(19), 1832–1843.
- Pasricha, S.-R., Tye-Din, J., Muckenthaler, M. U., & Swinkels, D. W. (2021). Iron deficiency. The Lancet, 397(10270), 233–248.
