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ルーカスのパラドックス

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ルーカスのパラドックスとは、新古典派理論によれば資本の乏しい途上国では資本の限界生産性がはるかに高く、資本が豊かな国から貧しい国へ大量に流れるはずなのに、実際の流れはごく小さいか、むしろ逆向きであるという謎です。ロバート・ルーカスが1990年に提起しました。
目次
  1. 1. ルーカスの計算
  2. 2. 主な説明
  3. 3. 配分パズルと歴史的比較
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ルーカスの計算

ルーカス(1990年)は新古典派生産関数を1988年の米国とインドに当てはめました。労働者1人当たり生産が約15倍異なる両国が同じ技術を使うなら、インドの資本の限界生産性は米国の約58倍でなければなりません。そうであればすべての新規投資がインドに向かうはずですが、現実はまったく違いました。ルーカスはこの乖離の説明として、人的資本の差、人的資本の外部効果、そして政治的リスクと資本市場の不完全性を候補に挙げました。

主な説明

マンキュー、ローマー、ワイル(1992年)のように人的資本を生産関数に入れると、限界生産性の格差は大きく縮小します。カセリとフェイラー(2007年)は、資本財の相対価格と天然資源の分け前を考慮すると、国家間の資本の限界生産性は見かけよりずっと近いと推計しました。アルファロ、カレムリ=オズカン、ヴォロソヴィッチ(2008年)は1970〜2000年のデータで、制度の質が最も重要な説明変数であると報告しました。ラインハートとロゴフ(2004年)は、繰り返される国家デフォルトの履歴が貧しい国への資本流入を抑えると論じました。

配分パズルと歴史的比較

グランシャとジャンヌ(2013年)は、途上国のなかで生産性成長率の高い国ほどむしろ純資本流出が大きいという「配分パズル」を示しました。プラサド、ラジャン、スブラマニアン(2007年)も、外国資本への依存が小さい途上国ほど速く成長したと報告しています。メンドーサ、クアドリーニ、リオス=ルル(2009年)は、金融発展の差が資本が豊かな国へ流れる現象を説明しうるとしました。歴史的には、クレメンスとウィリアムソン(2004年)が1870〜1913年の英国の海外投資も人的資本と天然資源の豊富な地域に集中していたことを明らかにしました。

よくある質問

ルーカスのパラドックスを簡単に言うと?
機械や工場が不足している貧しい国に投資すれば収益ははるかに高いはずなのに、実際のお金は豊かな国にとどまるか、そちらへ流れていくという謎です。
最も有力な説明は何ですか?
人的資本の差、制度の質と財産権保護、国家デフォルトのリスク、金融市場の発展度などが挙げられ、実証研究では特に制度の質が重要だという結果が多く見られます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

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  3. Reinhart, C. M., & Rogoff, K. S. (2004). Serial default and the "paradox" of rich-to-poor capital flows. American Economic Review, 94(2), 53–58.
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  10. Obstfeld, M., & Taylor, A. M. (2004). Global Capital Markets: Integration, Crisis, and Growth. Cambridge: Cambridge University Press.
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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。