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フェルドシュタイン=ホリオカ・パズル

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
フェルドシュタイン=ホリオカ・パズルとは、資本が国境を越えて自由に動くなら各国の国内貯蓄率と国内投資率はほとんど無関係になるはずなのに、実際のデータでは両者が非常に高い相関を示すという国際マクロ経済学の謎です。マーティン・フェルドシュタインとチャールズ・ホリオカが1980年に初めて報告しました。
目次
  1. 1. 発見と基本的な論理
  2. 2. さまざまな説明
  3. 3. 時代による変化と最近の研究
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

発見と基本的な論理

フェルドシュタインとホリオカ(1980年)は、1960〜1974年のOECD16か国のデータで投資率を貯蓄率に回帰させ、係数が0.9前後と1に近いという結果を得ました。資本が完全に移動できるなら、国内貯蓄は世界市場で最も収益の高いところに投資されるため、この係数は0に近くなるはずです。そこで彼らは、国際資本移動性は想定よりもはるかに低いと解釈しました。オブストフェルドとロゴフ(2000年)は、これを国際マクロ経済学の「6大パズル」の一つに挙げています。

さまざまな説明

多くの研究者は、高い相関が資本移動性の低さを示すとは限らないと反論しました。オブストフェルド(1986年)とテサール(1991年)は、人口増加や生産性ショックのような共通要因が貯蓄と投資を同時に動かしうると指摘しました。サマーズ(1988年)とバユミ(1990年)は、政府が経常収支の大きな不均衡を避けようと政策で対応するために相関が高くなると考えました。フランケル(1992年)は、実質金利平価が成り立たない限り、貯蓄・投資相関は資本移動性のよい尺度ではないと整理しました。コークリー、クラシ、スミス(1998年)は、長期的に経常収支が均衡しなければならないという支払能力の制約だけでも高い相関が生じうると主張しました。

時代による変化と最近の研究

テイラー(2002年)は19世紀末以降1世紀にわたるデータから、貯蓄・投資相関は金本位制の時期には低く、ブレトンウッズ期には高く、その後ふたたび低下したと報告しました。ブランシャールとジャヴァッツィ(2002年)は、ユーロ圏の統合後、ポルトガルやギリシャのような国で貯蓄と投資の相関が大きく弱まったとして、パズルが終わりつつある可能性を示しました。コークリー、フエルテス、スパニョーロ(2004年)とアペルギスとツォウマス(2009年)は、時系列とパネルの手法をめぐる実証研究を概観しています。バイとチャン(2010年)は、国際的な債務契約の執行が不完全な金融摩擦モデルによって、資本が自由でも高い相関が現れうることを示しました。

よくある質問

フェルドシュタイン=ホリオカ・パズルを簡単に説明すると?
お金が国境を越えて自由に動くなら、ある国の貯蓄がその国に投資される必要はないのに、実際には貯蓄の多い国ほど投資も多いという謎です。
このパズルは解決されたのですか?
共通ショック、政策対応、長期の支払能力の制約、金融摩擦などの説明が出され、ユーロ圏では相関が弱まりましたが、合意された単一の答えはまだありません。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Feldstein, M., & Horioka, C. (1980). Domestic saving and international capital flows. Economic Journal, 90(358), 314–329.
  2. Obstfeld, M., & Rogoff, K. (2000). The six major puzzles in international macroeconomics: Is there a common cause? NBER Macroeconomics Annual, 15, 339–390.
  3. Obstfeld, M. (1986). Capital mobility in the world economy: Theory and measurement. Carnegie-Rochester Conference Series on Public Policy, 24, 55–103.
  4. Frankel, J. A. (1992). Measuring international capital mobility: A review. American Economic Review, 82(2), 197–202.
  5. Summers, L. H. (1988). Tax policy and international competitiveness. In J. Frenkel (Ed.), International Aspects of Fiscal Policies (pp. 349–386). Chicago: University of Chicago Press.
  6. Bayoumi, T. (1990). Saving-investment correlations: Immobile capital, government policy, or endogenous behavior? IMF Staff Papers, 37(2), 360–387.
  7. Tesar, L. L. (1991). Savings, investment and international capital flows. Journal of International Economics, 31(1–2), 55–78.
  8. Coakley, J., Kulasi, F., & Smith, R. (1998). The Feldstein–Horioka puzzle and capital mobility: A review. International Journal of Finance & Economics, 3(2), 169–188.
  9. Taylor, A. M. (2002). A century of current account dynamics. Journal of International Money and Finance, 21(6), 725–748.
  10. Blanchard, O., & Giavazzi, F. (2002). Current account deficits in the euro area: The end of the Feldstein–Horioka puzzle? Brookings Papers on Economic Activity, 2002(2), 147–209.
  11. Coakley, J., Fuertes, A.-M., & Spagnolo, F. (2004). Is the Feldstein–Horioka puzzle history? The Manchester School, 72(5), 569–590.
  12. Apergis, N., & Tsoumas, C. (2009). A survey of the Feldstein–Horioka puzzle: What has been done and where we stand. Research in Economics, 63(2), 64–76.
  13. Bai, Y., & Zhang, J. (2010). Solving the Feldstein–Horioka puzzle with financial frictions. Econometrica, 78(2), 603–632.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。