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ソロー・モデル

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ソロー・モデルとは、貯蓄による資本蓄積、人口増加、技術進歩によって長期の経済成長を説明する新古典派成長モデルです。資本の収穫逓減のため、長期の一人当たり成長は最終的に技術進歩によって決まるという結論が核心です。
目次
  1. 1. モデルの構造と定常状態
  2. 2. ソロー残差と成長会計
  3. 3. 収束仮説と実証
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

モデルの構造と定常状態

ロバート・ソロー(1956年)とトレヴァー・スワン(1956年)がそれぞれ示したこのモデルは、ハロッド(1939年)とドーマー(1946年)のモデルが抱えていた「ナイフエッジ」問題を、資本と労働の代替が可能な生産関数によって解決しました。産出Y=F(K, AL)は規模に関して収穫一定で、資本については収穫逓減です。効率労働一単位当たりの資本kの変化はΔk=s·f(k)−(n+g+δ)kと表されます。貯蓄率sに応じた投資が、人口成長率n、技術進歩率g、減価償却率δによる資本の希薄化を上回ればkは増え、そうでなければ減ります。収穫逓減のため二つの力が釣り合う「定常状態」に到達し、その後一人当たり所得は技術進歩率gでのみ成長します。貯蓄率を高めれば定常状態の所得水準は上がるが長期の成長率は変わらない、というのがこのモデルの最も重要な結論です。フェルプス(1961年)は一人当たり消費を最大化する資本量、すなわち資本の限界生産がn+g+δに等しくなる「黄金律」水準を導きました。

ソロー残差と成長会計

ソロー(1957年)は米国の1909〜1949年のデータを用いて、労働と資本の投入増加では説明できない産出の増加分を計算し、一人当たり産出の増加の約87%がこの「残差」であることを見いだしました。これを技術進歩または全要素生産性(TFP)と呼び、その後の成長会計の基本的枠組みとなりました。しかしモデルの中で技術進歩は外生的に与えられるため、なぜ技術が進歩するのかは説明できません。この限界が内生的成長理論の出発点となりました。ポール・クルーグマン(1994年)とアルウィン・ヤング(1995年)は、東アジアの高度成長は主に資本と労働の投入増加によるものでTFPの上昇は大きくなかったと分析し、投入主導の成長は収穫逓減に突き当たるというソロー・モデルの予測を思い起こさせました。

収束仮説と実証

ソロー・モデルは、貧しい国ほど資本の限界生産が高いので速く成長する「収束」を予測します。ボーモル(1986年)は先進国間の収束を示しましたが、世界全体の標本では絶対的収束はあまり見られませんでした。バロー(1991年)は、貯蓄率、人口成長率、人的資本など定常状態を決める要因を制御すると収束が現れる「条件付き収束」を示しました。マンキュー、ローマー、ワイル(1992年)は、人的資本を加えた拡張ソロー・モデルが国家間の所得差の約80%を説明すると主張しました。一方、ホールとジョーンズ(1999年)は国家間の所得差の多くはTFPの差から生じ、その根は制度や政府の政策といった「社会的インフラ」にあると考えました。ソロー・モデルは今日でもマクロ経済学の教科書の出発点であり、創造的破壊のようなイノベーション理論と比較される基準モデルです。

よくある質問

ソロー・モデルをわかりやすく言うと?
工場や機械などの資本を増やすと最初は成長しますが、効果がしだいに小さくなるため、長期的に一人当たり所得を伸ばし続けられるのは技術進歩だけだというモデルです。
ソロー残差とは何ですか?
労働と資本の投入増加では説明できない産出の増加分です。通常、技術進歩または全要素生産性と解釈されます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Solow, R. M. (1956). A contribution to the theory of economic growth. Quarterly Journal of Economics, 70(1), 65–94.
  2. Swan, T. W. (1956). Economic growth and capital accumulation. Economic Record, 32(2), 334–361.
  3. Solow, R. M. (1957). Technical change and the aggregate production function. Review of Economics and Statistics, 39(3), 312–320.
  4. Harrod, R. F. (1939). An essay in dynamic theory. Economic Journal, 49(193), 14–33.
  5. Domar, E. D. (1946). Capital expansion, rate of growth, and employment. Econometrica, 14(2), 137–147.
  6. Phelps, E. S. (1961). The golden rule of accumulation. American Economic Review, 51(4), 638–643.
  7. Mankiw, N. G., Romer, D., & Weil, D. N. (1992). A contribution to the empirics of economic growth. Quarterly Journal of Economics, 107(2), 407–437.
  8. Barro, R. J. (1991). Economic growth in a cross section of countries. Quarterly Journal of Economics, 106(2), 407–443.
  9. Baumol, W. J. (1986). Productivity growth, convergence, and welfare. American Economic Review, 76(5), 1072–1085.
  10. Krugman, P. (1994). The myth of Asia's miracle. Foreign Affairs, 73(6), 62–78.
  11. Young, A. (1995). The tyranny of numbers. Quarterly Journal of Economics, 110(3), 641–680.
  12. Hall, R. E., & Jones, C. I. (1999). Why do some countries produce so much more output per worker than others? Quarterly Journal of Economics, 114(1), 83–116.
  13. Jones, C. I., & Vollrath, D. (2013). Introduction to Economic Growth (3rd ed.). New York: W. W. Norton.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。