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フェルドーンの法則

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
フェルドーンの法則とは、製造業の生産量の伸び率が高いほど労働生産性の伸び率も高くなるという経験的な関係です。オランダの経済学者ペトルス・ヨハネス・フェルドーンが1949年に報告し、おおむね生産量が1%速く増えると生産性が約0.5%速く上がるという係数が観察されます。ニコラス・カルドアはこれを成長理論の中核に据えました。
目次
  1. 1. 起源と概念
  2. 2. カルドアの成長法則と累積的因果関係
  3. 3. 実証上の論争と現代的な意義
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源と概念

アダム・スミス(1776年)は、市場が広がるほど分業が深まり生産性が上がると考え、アリン・ヤング(1928年)はこれを経済全体の収穫逓増へと拡張しました。フェルドーン(1949年)は複数の国のデータで、製造業の産出の伸び率と労働生産性の伸び率のあいだに安定した正の関係があることを見いだしました。この関係は、生産量が増えるにつれて分業、学習、技術の導入が同時に進む「動学的規模の経済」を反映すると解釈されます。アロー(1962年)の「学習による習得」も同様のメカニズムを定式化しています。

カルドアの成長法則と累積的因果関係

カルドア(1966年)は英国の低成長を分析するなかで三つの法則を示しました。製造業の成長が経済全体の成長を牽引すること、製造業の生産量の増加が製造業の生産性を高めること(フェルドーンの法則)、そして製造業の拡大がほかの部門の生産性も高めることです。ディクソンとサールウォール(1975年)はこれを輸出需要と結びつけ、最初に先行した地域が生産性の向上によって競争力を高め、さらに多くの需要を引きつける「累積的因果関係」のモデルをつくりました。これはサールウォールの法則や経路依存性ともつながっています。

実証上の論争と現代的な意義

ローソン(1975年)は、カルドアの推計が日本のような特異な観測値に大きく依存していると批判し、カルドア(1975年)は、雇用の増加は需要によって決まるので生産量を独立変数とみなすのが正しいと反論しました。マッコンビー(1982年)は、時系列の水準値で推計すると収穫一定となり、伸び率で推計すると収穫逓増となる「静学・動学フェルドーン法則の逆説」を指摘しました。フィングルトンとマッコンビー(1998年)、アンヘリス、マッコンビー、ロバーツ(2008年)は、欧州の地域データでかなりの収穫逓増と空間的な波及効果を確認しています。ローマー(1986年)の収穫逓増モデルは、似た考えを内生的成長理論の枠組みで表現しました。

よくある質問

フェルドーンの法則を簡単に説明すると?
工場でつくる量が速く増えるほど、働く人1人当たりの生産性も速く高まるという経験則です。
なぜ重要なのですか?
生産量の増加と生産性の向上が互いを強め合うため、国や地域のあいだの成長格差が累積的に広がる理由を説明するのに使われます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Verdoorn, P. J. (1949). Fattori che regolano lo sviluppo della produttività del lavoro. L'Industria, 1, 3–10.
  2. Kaldor, N. (1966). Causes of the Slow Rate of Economic Growth of the United Kingdom. Cambridge: Cambridge University Press.
  3. Smith, A. (1776). An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations. London: W. Strahan and T. Cadell.
  4. Young, A. A. (1928). Increasing returns and economic progress. Economic Journal, 38(152), 527–542.
  5. Arrow, K. J. (1962). The economic implications of learning by doing. Review of Economic Studies, 29(3), 155–173.
  6. Rowthorn, R. E. (1975). What remains of Kaldor's law? Economic Journal, 85(337), 10–19.
  7. Kaldor, N. (1975). Economic growth and the Verdoorn law: A comment on Mr Rowthorn's article. Economic Journal, 85(340), 891–896.
  8. Dixon, R., & Thirlwall, A. P. (1975). A model of regional growth-rate differences on Kaldorian lines. Oxford Economic Papers, 27(2), 201–214.
  9. McCombie, J. S. L. (1982). Economic growth, Kaldor's laws and the static-dynamic Verdoorn law paradox. Applied Economics, 14(3), 279–294.
  10. Fingleton, B., & McCombie, J. S. L. (1998). Increasing returns and economic growth: Some evidence for manufacturing from the European Union regions. Oxford Economic Papers, 50(1), 89–105.
  11. McCombie, J. S. L., Pugno, M., & Soro, B. (Eds.). (2002). Productivity Growth and Economic Performance: Essays on Verdoorn's Law. Basingstoke: Palgrave Macmillan.
  12. Angeriz, A., McCombie, J. S. L., & Roberts, M. (2008). New estimates of returns to scale and spatial spillovers for EU regional manufacturing, 1986–2002. International Regional Science Review, 31(1), 62–87.
  13. Romer, P. M. (1986). Increasing returns and long-run growth. Journal of Political Economy, 94(5), 1002–1037.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。