フレーベルの幼児教育思想
ペスタロッチの影響を受けたフレーベルは『人間の教育』(1826)を著し、1837年にブランケンブルクに幼児のための施設を設立し、1840年にそれを「キンダーガルテン」(子どもの庭)と名づけました。この名前には、庭師が植物を世話するように、教師は子どもの本性が育つのを助けるという意味が込められています。
- 統一の原理:神、自然、人間は一つにつながっており、すべての子どもの内に神的なものがあります。
- 遊び:遊びを幼児期の最も純粋で精神的な活動とみなし、教育の中心に置きました。
- 恩物と作業:ボール、球、円柱、積み木などの「恩物」(Gaben)によって子どもは形、数、関係を理解し、紙折りや縫い取りなどの「作業」によって自己を表現しました。
- 母の歌と遊戯:歌や手遊びが家庭と教育をつなぎました。
モンテッソーリの幼児教育思想
医師であったモンテッソーリは、知的障害のある子どもたちとの取り組みをもとに、1907年にローマの貧しい地区に「子どもの家」(Casa dei Bambini)を開き、『モンテッソーリ・メソッド』(英訳1912年)によってその方法を広めました。
- 吸収する精神:誕生から6歳までの子どもは、スポンジのように環境を無意識に吸収します(『吸収する精神』、1949)。
- 敏感期:秩序、言語、感覚、運動などの特定の能力が容易に獲得される時期があります。
- 整えられた環境:子どもの体に合った家具と整然とした教具が用意され、子どもは自由に選びます。
- 教具と自己訂正:円柱さしなどの感覚教具は子どもが自分の誤りに気づけるように作られており、教師は教え込むのではなく観察し導きます。
- 日常生活の練習:注ぐ、ボタンをかけるといった活動が自立心と集中力を育てます。
共通点と相違点
両者とも子どもの自発性と内的な発達を尊重し、感覚的経験と具体物を重視しました。しかし、フレーベルが遊びと象徴、宗教的な統一の思想、教師主導の集団活動を強調したのに対し、モンテッソーリは科学的観察、個別の「仕事」、現実的な活動を強調し、ごっこ遊びには比較的消極的でした。
評価
フレーベルの幼稚園は世界の幼稚園制度の起源となり(Brosterman, 1997)、モンテッソーリ教育は今も多くの学校で実践されています。リラード(2005)はモンテッソーリの原理の多くが現代の発達研究と合致すると論じましたが、恩物の象徴主義や教具の固定的な使い方は硬直的すぎると批判されてきました。子どもの能動的な構成を重視する点で、両者はピアジェともつながります。
参考文献
- Fröbel, F. (1826). Die Menschenerziehung. Keilhau. (Hailmann, W. N., Trans. (1887). The Education of Man. D. Appleton.)
- Montessori, M. (1912). The Montessori Method (A. E. George, Trans.). Frederick A. Stokes.
- Montessori, M. (1949). The Absorbent Mind. Theosophical Publishing House.
- Lillard, A. S. (2005). Montessori: The Science Behind the Genius. Oxford University Press.
- Brosterman, N. (1997). Inventing Kindergarten. Harry N. Abrams.