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オルソンの円環モデル

🧠 心理学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
オルソンの円環モデルとは、家族の情緒的な結びつきの強さ(凝集性)と、ストレスや成長に応じて役割やルールを変えられる力(柔軟性・適応性)の2つの軸で家族システムをとらえるモデルです。 デイヴィッド・オルソン、ダグラス・スプレンクル、キャンディス・ラッセルが1979年に提唱しました。
目次
  1. 1. オルソンの円環モデルとは
  2. 2. 2つの軸
  3. 3. コミュニケーションの役割
  4. 4. 研究が示していること
  5. 5. 家族のライフサイクルとあわせて考える
  6. 6. よくある質問
  7. 7. 参考文献

オルソンの円環モデルとは

オルソンの円環モデル(Circumplex Model of Marital and Family Systems)とは、家族の情緒的な結びつきの強さをあらわす凝集性(cohesion)と、ストレスや家族の成長に応じて役割やルールをどれだけ変えられるかをあらわす柔軟性(flexibility)という2つの軸で家族をとらえるモデルです。家族研究者のデイヴィッド・オルソンらが1979年に『Family Process』誌で発表しました。当初、柔軟性は適応性(adaptability)と呼ばれていたため、日本では「凝集性と適応性」として紹介されることも多くあります。家族システム論の考え方を、測定できる枠組みにした代表的なモデルです。

📌 ひと目でわかる
提唱者
オルソン、スプレンクル、ラッセル(1979)
2つの軸
凝集性(結びつき)と柔軟性・適応性(変化する力)
促進的な次元
家族のコミュニケーション
測定尺度
FACES(家族適応性・凝集性評価尺度)

2つの軸

軸非常に低い中程度(バランス)非常に高い
凝集性遊離(disengaged):互いに無関心で、ばらばらに暮らす分離〜結合(separated〜connected):近くにいながら、それぞれの居場所もある纏綿(enmeshed):密着しすぎて、一人ひとりの自立が難しい
柔軟性硬直(rigid):ルールや役割がまったく変わらない構造化〜柔軟(structured〜flexible):必要なときに話し合って変えられる無秩序(chaotic):ルールやリーダーシップが一貫しない

2つの軸を重ねると、家族のタイプを地図のように配置できます。中央の領域をバランス型、両端にかたよったものを極端型(アンバランス型)と呼びます。

コミュニケーションの役割

オルソンは、コミュニケーションを2つの軸を動かす促進的な次元と考えました。よく聴き、相手の気持ちを尊重して話せる家族は、状況に合わせて結びつきやルールを調整できるということです。家族のコミュニケーションの基本的な原理についてはコミュニケーションの公理も参考にしてください。

研究が示していること

いつも一緒にいる家族が、いちばん健康な家族なのでしょうか。円環モデルの中心的な仮説は、凝集性と柔軟性がどちらも中程度にあるバランス型の家族のほうが、どちらかの極端にかたよった家族よりも、家族のライフサイクルの変化やストレスにうまく対処できるというものです。オルソンらはこれを確かめるためにFACESという自己記入式の尺度を開発し、何度も改訂を重ねてきました。

日本では、立木茂雄の研究室が1986年から、日本の家族に合わせた独自の項目でFACESKGという尺度を開発してきました。FACESの翻訳版ではなく、凝集性を「家族のきずな」、柔軟性を「家族のかじとり」と呼び、きずなは「バラバラ・サラリ・ピッタリ・ベッタリ」、かじとりは「融通なし・キッチリ・柔軟・てんやわんや」の4段階で表します。阪神・淡路大震災の被災世帯を対象にした大規模調査では、きずなとかじとりが中程度のときに家族の適応度がもっとも高いという、円環モデルの仮説どおりの関係が確かめられています。

つまり、離れすぎても(遊離)くっつきすぎても(纏綿)問題が起こりやすいということです。纏綿は、ボーエンの家族システム理論でいう「未分化」とよく似た課題を示しています。

家族のライフサイクルとあわせて考える

  • 子どもが幼いころ:結びつきが強く、はっきりした枠組みがあることが助けになります。
  • 子どもが思春期になったら:自立をうながすために結びつきは少しゆるめ、ルールは話し合って変えていく柔軟さが必要になります。
  • 失業や病気などの危機のとき:一時的に結びつきを強め、役割を入れかえることが適応を助けます。

このように「ちょうどよい程度」は、家族の段階や文化によって変わりえます。

よくある質問

オルソンの円環モデルとは?
家族を凝集性(情緒的な結びつき)と柔軟性・適応性(変化に対応する力)の2つの軸で説明する家族システムのモデルです。1979年にオルソンらが提唱しました。
バランス型家族と極端型家族の違いは?
バランス型は凝集性と柔軟性が中程度でストレスに対処しやすく、極端型は遊離・纏綿や硬直・無秩序のように両端にかたよっています。
FACESとは何ですか?
円環モデルにもとづいて、家族の凝集性と柔軟性(適応性)を測るためにオルソンらが作った自己記入式の尺度です。

参考文献

  1. 立木茂雄研究室「家族システム評価尺度FACESKG」. https://www.tatsuki.org/faceskg.html
  2. Olson, D. H., Sprenkle, D. H., & Russell, C. S. (1979). Circumplex model of marital and family systems: I. Cohesion and adaptability dimensions, family types, and clinical applications. Family Process, 18(1), 3–28. https://doi.org/10.1111/j.1545-5300.1979.00003.x

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この記事は2026年10月23日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。