バウムリンドの養育スタイルとは
バウムリンドの養育スタイルとは、アメリカの発達心理学者ダイアナ・バウムリンドが示した親の子育てのしかたの分類です。バウムリンドは1960年代に、幼児とその親を観察し面接して、養育態度を権威ある(authoritative)、権威主義的(authoritarian)、許容的(permissive)の3つに分けました。その後、マコービーとマーティン(1983)が応答性と要求性という2つの軸で整理し直し、放任型(neglectful)を加えたことで、現在は4類型として広く知られています。
- 提唱者
- ダイアナ・バウムリンド(1966)、マコービーとマーティン(1983)が拡張
- 2つの軸
- 応答性(温かさ・受容)と要求性(ルール・見守り)
- 4つの類型
- 権威ある、権威主義的、許容的、放任型
- 分野
- 発達心理学、家族心理学
4つの養育スタイル
| 類型 | 応答性 | 要求性 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 権威ある養育 | 高い | 高い | ルールははっきり示しつつ理由を説明し、子どもの意見にも耳を傾ける |
| 権威主義的養育 | 低い | 高い | 従うことを重んじ、「言われたとおりにしなさい」と説明なしに統制する |
| 許容的養育 | 高い | 低い | 温かいが、ルールや限度をほとんど設けない |
| 放任型(ネグレクト型) | 低い | 低い | 関心も見守りも乏しい |
研究が示していること
どの子育てのしかたが子どもにとっていちばんよいのでしょうか。バウムリンドの初期の研究やその後の多くの研究では、温かさとはっきりした期待をあわせもつ権威ある養育が、子どもの自己調整力や社会的な有能さ、学校への適応とおおむね良い関連を示してきました。一方、関心も見守りも乏しい放任型は、さまざまな適応上の問題ともっとも一貫して関連する類型だと報告されています。
ただし、こうした研究の多くは相関研究です。親の関わりが子どもを変えるだけでなく、子どもの気質が親の関わり方を変えるという逆の方向も考える必要があります。また、厳しいしつけがもつ意味は文化によって異なり、東アジアの家庭では権威主義的養育の影響が欧米の研究とは違って現れるという報告もあります。
日本の制度の変化
日本では、2020年4月施行の改正児童虐待防止法で親による体罰が禁止されました。さらに2022年12月施行の民法改正で、親の懲戒権(旧822条)が削除され、子の人格を尊重し、体罰など心身の健全な発達に有害な言動をしてはならないことが明記されました。説明と対話で限度を示す、権威ある養育に近い方向といえます。
日々の子育てに生かすには
- 理由と一緒にルールを伝える:「車が来ると危ないから、道では手をつなごうね」のように理由を説明します。
- 気持ちは受けとめ、行動には限度を示す:「怒っているのはわかるよ。でも、たたくのはだめ」。
- 選ぶ機会をつくる:年齢に合わせて、小さなことは子ども自身に決めさせてみます。
- 自分の育ちをふり返る:自分の子育てのしかたは原家族(生まれ育った家族)の影響を受けています。子どもの安心感は愛着(アタッチメント)ともつながっています。
よくある質問
- バウムリンドの養育スタイルの4類型とは?
- 権威ある養育、権威主義的養育、許容的養育、放任型の4つです。応答性(温かさ)と要求性(しつけ)がそれぞれ高いか低いかで分けます。
- 権威ある養育と権威主義的養育の違いは?
- どちらもルールははっきりしていますが、権威ある養育は温かく理由を説明して子どもの意見を聞き、権威主義的養育は説明なしに従うことを求めます。
- 日本では体罰は法律で禁止されていますか?
- はい。2020年4月施行の改正児童虐待防止法で親による体罰が禁止され、2022年12月の民法改正で懲戒権の規定も削除されました。
参考文献
- Baumrind, D. (1966). Effects of authoritative parental control on child behavior. Child Development, 37(4), 887–907. https://doi.org/10.2307/1126611
- Maccoby, E. E., & Martin, J. A. (1983). Socialization in the context of the family: Parent–child interaction. In P. H. Mussen (Ed.), Handbook of child psychology (4th ed., Vol. 4, pp. 1–101). Wiley.
