バーンアウトとは
バーンアウト(burnout)は「燃え尽きる」という意味で、長く続く職場のストレスにうまく対処できず、心身ともに疲れ果ててしまった状態を指します。日本では燃え尽き症候群とも呼ばれます。1970年代にアメリカの心理学者ハーバート・フロイデンバーガーが使いはじめ、クリスティーナ・マスラックが測定尺度を開発して研究を体系化しました。
📌 ひと目でわかる
- 定義
- うまく管理されない慢性的な職場ストレスによる症候群(WHO)
- 分類
- ICD-11 QD85、病気ではなく「職業上の現象」
- 3つの側面
- 情緒的消耗感、脱人格化(冷笑)、個人的達成感の低下
- 代表的な尺度
- マスラック・バーンアウト尺度(MBI)
WHOが示す3つの特徴
バーンアウトは「ただ疲れている」のとは違います。WHOは2019年のICD-11で、バーンアウトを①エネルギーの枯渇や疲弊感、②仕事との心理的な距離の増大、仕事への否定的・冷笑的な感情、③職務効力感の低下によって定義し、職場の文脈に限って使う概念だとしています。
| 側面 | 様子 |
|---|---|
| 情緒的消耗感 | 出勤を考えるだけで疲れる。休日に休んでも回復しない。 |
| 脱人格化・冷笑 | 顧客や同僚がわずらわしく感じ、仕事に意味を感じられない。 |
| 達成感の低下 | 「自分は仕事ができない」「やっても変わらない」と思う。 |
なぜ起こる?職場の6つの要因
マスラックら(2001)は、バーンアウトは個人の弱さよりも人と仕事のミスマッチから生じると考えました。
- 過大な仕事量
- 裁量の欠如:仕事の進め方や予定を自分で決められない。
- 報酬の不足:給与、評価、成長の機会が努力に見合わない。
- 職場のつながりの崩壊:同僚との対立、孤立、ハラスメントがある。
- 公正さの欠如:評価や昇進が不公平だと感じる。
- 価値観の対立:会社の求めることと自分の価値観が合わない。
顧客の前で感情を管理し続ける職種では、感情労働がバーンアウトの大きな原因になります。
バーンアウトとうつ病の違い
| 項目 | バーンアウト | うつ病 |
|---|---|---|
| 範囲 | 主に仕事に関する領域 | 生活のほぼすべての領域 |
| 診断 | 医学的な病名ではない | 精神医学的な診断 |
| 休暇のあと | ある程度よくなることも | 休むだけではよくなりにくい |
ただし、バーンアウトが長引くとうつ病や不安障害、睡眠の問題につながることがあります。2週間以上気分が落ち込み、ほとんどのことに興味がもてない場合は、専門家への相談をおすすめします。
回復のためにできること
- 境界線を引く:終業後は仕事のチャットの通知を切るなど、仕事と休みを分けます。
- コントロールできることを探す:優先順位や締め切りを上司と調整し直します。
- 回復のための活動:睡眠、運動、仕事と関係のない趣味が役立ちます。マインドフルネスのプログラムもストレス軽減に使われています。
- 組織としての対策:業務量の調整、公正な評価、上司の支えは、個人の努力以上に効果があります。日本では従業員50人以上の事業場にストレスチェックの実施が義務づけられています。
- 助けを求める:厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では相談窓口を案内しており、働く人向けの「こころの耳電話相談」(0120-565-455、平日17〜22時・土日10〜16時)もあります。
つらい気持ちが強いときは、「こころの健康相談統一ダイヤル」0570-064-556などの公的な窓口に相談してください。
よくある質問
- バーンアウト(燃え尽き症候群)とは?
- うまく対処できない慢性的な職場のストレスによって生じる状態で、疲弊感、仕事への冷笑、職務効力感の低下が特徴です。
- バーンアウトは病気ですか?
- WHOはICD-11でバーンアウトを医学的な病気ではなく「職業上の現象」に分類しています。ただし長引くとうつ病などにつながることがあります。
- バーンアウトとうつ病はどう違いますか?
- バーンアウトは主に仕事に関する領域に限られますが、うつ病は生活全体に影響し、休むだけでは回復しにくいという違いがあります。
参考文献
- Maslach, C., & Jackson, S. E. (1981). The measurement of experienced burnout. Journal of Occupational Behaviour, 2(2), 99–113.
- Maslach, C., Schaufeli, W. B., & Leiter, M. P. (2001). Job burnout. Annual Review of Psychology, 52, 397–422.
- World Health Organization. (2019). Burn-out an "occupational phenomenon": International Classification of Diseases (ICD-11, QD85).
