オレムのセルフケア理論とは?
オレムのセルフケア不足理論は、アメリカの看護理論家ドロセア・オレムが1971年の『看護:実践の概念』で体系化した看護理論です。人は生命・健康・安寧を保つために自ら行う活動、つまりセルフケアを行っており、その能力が必要な量をまかなえないときにセルフケア不足が生じ、そこで看護が介入すると考えます。看護理論の授業や看護師国家試験で頻出の理論です。
3つの構成理論
| 構成理論 | 中心となる問い |
|---|---|
| セルフケア理論 | 人はなぜ、どのように自分をケアするのか |
| セルフケア不足理論 | いつ看護が必要になるのか(セルフケア・エージェンシー<治療的セルフケア・デマンド) |
| 看護システム理論 | 看護師はどのように援助するのか |
3種類のセルフケア要件
- 普遍的セルフケア要件:空気・水・食物、排泄、活動と休息、孤独と社会的相互作用、危険の予防、正常性の促進など、すべての人に共通する要件
- 発達的セルフケア要件:妊娠、乳児期、老年期など発達段階や、喪失などの出来事に伴う要件
- 健康逸脱に対するセルフケア要件:病気・けが・診断や治療によって生じる要件(例:糖尿病患者の血糖測定)
看護システムはどう分類される?
| 看護システム | 患者の状態 | 例 |
|---|---|---|
| 全代償的システム | セルフケアをほとんど行えない | 意識のない重症患者 |
| 一部代償的システム | 患者と看護師がケアを分担する | 術直後の患者 |
| 支持・教育的システム | 行う能力はあるが、知識・技術・支えが必要 | インスリン自己注射を学ぶ患者 |
活用と評価
アセスメントでセルフケア要件と能力を比べて不足を見つけ、それに合った看護システムを選ぶという流れで看護過程にそのまま応用できるため、慢性疾患、リハビリテーション、地域看護などで広く使われています。患者の自律と参加を重んじる点は自己効力感の考え方とも相性がよいです。一方、個人のセルフケアを中心に据えるため家族・文化・社会的文脈の扱いが十分でない、概念が多く複雑だという批判もあります。理論に基づく介入の効果検証は根拠に基づく実践(EBP)につながります。
よくある質問
- セルフケア不足はどんなときに生じますか?
- 患者のセルフケア能力(エージェンシー)が治療的セルフケア・デマンドを下回るときです。その差を埋めるのが看護の役割です。
- 支持・教育的システムと一部代償的システムの違いは?
- 看護師が身体的ケアの一部を代わりに行うなら一部代償的、患者が自分で行い教育・指導・支援だけを受けるなら支持・教育的です。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Orem, D. E. (2001). Nursing: Concepts of Practice (6th ed.). St. Louis, MO: Mosby.
- Orem, D. E. (1971). Nursing: Concepts of Practice. New York: McGraw-Hill.
- Alligood, M. R. (Ed.). (2018). Nursing Theorists and Their Work (9th ed.). St. Louis, MO: Elsevier.
