クッシング症候群とは?
クッシング症候群は、副腎から分泌されるコルチゾールが長期間過剰になることで現れる症状の総称です。1932年に下垂体腫瘍の患者を報告したアメリカの脳神経外科医ハーヴェイ・クッシングにちなんで名づけられました。コルチゾールは血糖・血圧・免疫を調節する欠かせないホルモンですが、多すぎると代謝や骨、皮膚、気分にまで影響します。
原因:クッシング症候群とクッシング病の違い
- 外因性(医原性):関節リウマチや喘息などでステロイド薬を長く使った場合。最も多い原因です。
- クッシング病:下垂体腺腫がACTHを過剰に分泌し、副腎を刺激する場合。内因性では最多です。
- 副腎腫瘍:副腎そのものがコルチゾールを過剰につくる場合
- 異所性ACTH産生腫瘍:肺などの腫瘍がACTHをつくるまれな場合
つまりクッシング病は、クッシング症候群の原因の一つという位置づけです。
症状
顔が丸く赤らむ満月様顔貌、手足は細いのにお腹や首の後ろに脂肪がつく中心性肥満(野牛肩)、お腹や太ももの幅広い赤色皮膚線条、あざができやすい薄い皮膚が特徴です。高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、筋力低下、月経不順、抑うつや不眠を伴うこともあります。メタボリックシンドロームと似ているため、見分けることが大切です。
検査と治療
米国内分泌学会のガイドライン(Nieman ら, 2008)では、まずステロイド薬の使用を確認し、24時間尿中遊離コルチゾール、深夜唾液コルチゾール、低用量デキサメタゾン抑制試験のいずれか一つ以上でスクリーニングするよう勧めています。異常があればACTHの測定やMRI・CTで原因を調べます。治療は原因によって異なり、薬剤性なら医師の管理のもとでステロイドを徐々に減らし、腫瘍が原因なら手術による摘出が第一選択です(Lacroix ら, 2015)。ステロイドを自己判断で急にやめると副腎不全を起こすおそれがあります。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 強いストレスでクッシング症候群になりますか?
- 日常的なストレスでコルチゾールが一時的に上がるのは病気ではありません。病気は数か月以上続く異常な過剰状態を指します。ストレス反応そのものは汎適応症候群で扱います。
- 顔が丸くなったら疑うべきですか?
- 単なる体重増加との区別は難しいです。赤色皮膚線条、あざができやすい、筋力低下が重なる場合は内分泌内科を受診しましょう。
出典確認日:2026-10-25
参考文献
- Cushing, H. (1932). The basophil adenomas of the pituitary body and their clinical manifestations (pituitary basophilism). Bulletin of the Johns Hopkins Hospital, 50, 137–195.
- Nieman, L. K., Biller, B. M. K., Findling, J. W., Newell-Price, J., Savage, M. O., Stewart, P. M., & Montori, V. M. (2008). The diagnosis of Cushing's syndrome: An Endocrine Society clinical practice guideline. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 93(5), 1526–1540.
- Lacroix, A., Feelders, R. A., Stratakis, C. A., & Nieman, L. K. (2015). Cushing's syndrome. The Lancet, 386(9996), 913–927.
