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プレビッシュ=シンガー仮説

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
プレビッシュ=シンガー仮説は、農産物や鉱物といった一次産品の価格が工業製品の価格に比べて長期的に下がる傾向があるため、主に一次産品を輸出する途上国の純交易条件が時間とともに悪化するという開発経済学の仮説です。ラウル・プレビッシュとハンス・シンガーが1950年にそれぞれ提示しました。
目次
  1. 1. 起源と中心的な主張
  2. 2. 理論的な説明
  3. 3. 実証をめぐる論争
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源と中心的な主張

ラウル・プレビッシュ(1950年)は国連ラテンアメリカ経済委員会の報告書で、ハンス・シンガー(1950年)は『アメリカン・エコノミック・レビュー』の論文で、ほぼ同じ時期に同じ結論に達しました。英国の長期貿易データを見ると、19世紀後半以降、一次産品の価格は工業製品に比べて下がってきており、そのため原材料を輸出して工業製品を輸入する国は、同じ量の輸入品を得るためにますます多くを輸出しなければならないというのです。これは、貿易の利益がすべての国に等しく行き渡るという伝統的な見方への挑戦であり、キンドルバーガー(1943年)も先に似た観察を残していました。

理論的な説明

この仮説はいくつかの仕組みで説明されます。第一に、エンゲルの法則により、所得が増えても食料などの一次産品への需要は工業製品ほど増えません。第二に、工業国では企業や労働組合の力が強く、生産性向上の利益が賃金や利潤として残る一方、競争的な一次産品市場では生産性向上が価格の低下につながり、輸入国に移転してしまいます。第三に、合成代替品の開発や原材料節約型の技術進歩が一次産品の需要を抑えます。ルイス(1954年)の無制限労働供給モデルも、途上国の輸出品価格が低く抑えられる理由を補いました。この仮説は「中心―周辺」の構造論とともに、1950〜70年代のラテンアメリカにおける輸入代替工業化政策の理論的な根拠となりました。

実証をめぐる論争

初期のデータと方法には批判が続きました。スプラオス(1980年)は輸送費や品質の変化を考慮すると傾向が弱まると論じ、サプスフォード(1985年)は追加の証拠で下落傾向を支持しました。グリリとヤン(1988年)は1900年以降の一次産品と工業製品の価格指数を新たに作成し、年平均約0.5〜0.6%の下落を確認し、この指数はその後の研究の標準データとなりました。カディントンとウルスア(1989年)は、下落は持続的な傾向ではなく1920年代の一度きりの構造変化かもしれないと主張し、ケラードとウォハー(2006年)は品目によって結果が異なることを示しました。ハーベイら(2010年)は1650年以降4世紀にわたるデータで一部の品目の長期的な下落を確認し、アレズキら(2014年)は複数の構造変化を許容するパネル検定で仮説をおおむね支持しました。オカンポとパラ=ランクール(2010年)、エルテンとオカンポ(2013年)は、長期の下落傾向に数十年周期の「スーパーサイクル」が重なっていると解釈しています。この議論はオランダ病やヘクシャー=オリーン理論とともに、資源依存型経済の発展経路を理解する枠組みとして用いられています。

よくある質問

プレビッシュ=シンガー仮説を簡単に言うと?
原材料の値段は長い目で見ると工業製品ほど上がらないか、相対的に下がる傾向があるため、原材料を売って工業製品を買う国はしだいに不利になるという主張です。
仮説は実証的に正しいのですか?
長期データでは多くの品目で相対価格の下落が確認されていますが、それが持続的な傾向なのか、一度きりの変化やスーパーサイクルなのか、品目ごとにどう違うのかをめぐって議論が続いています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Prebisch, R. (1950). The Economic Development of Latin America and Its Principal Problems. New York: United Nations (ECLA).
  2. Singer, H. W. (1950). The distribution of gains between investing and borrowing countries. American Economic Review, 40(2), 473–485.
  3. Kindleberger, C. P. (1943). Planning for foreign investment. American Economic Review, 33(1), 347–354.
  4. Lewis, W. A. (1954). Economic development with unlimited supplies of labour. Manchester School, 22(2), 139–191.
  5. Spraos, J. (1980). The statistical debate on the net barter terms of trade between primary commodities and manufactures. Economic Journal, 90(357), 107–128.
  6. Sapsford, D. (1985). The statistical debate on the net barter terms of trade between primary commodities and manufactures: A comment and some additional evidence. Economic Journal, 95(379), 781–788.
  7. Grilli, E. R., & Yang, M. C. (1988). Primary commodity prices, manufactured goods prices, and the terms of trade of developing countries: What the long run shows. World Bank Economic Review, 2(1), 1–47.
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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。