概念の起源とカズーム-ブルックス仮説
ジェヴォンズ(1865年)は『石炭問題』で、蒸気機関の効率向上が石炭の消費を減らすどころかかえって増やしたと指摘し、これがリバウンドをめぐる議論の出発点となりました。現代的な議論は、カズーム(1980年)が家電製品の効率義務基準は利用コストを下げるため、期待どおりにはエネルギーを節約できない可能性があると分析したことから始まりました。ブルックス(1990年)は経済全体の水準で効率改善がかえってエネルギー消費を増やしうると主張し、ソーンダーズ(1992年)は新古典派成長モデルでこれを定式化して「カズーム-ブルックス仮説」と名づけました。この仮説は、効率政策だけでエネルギー需要を減らせるという楽観論への挑戦として受け止められました。
リバウンドの種類
グリーニング、グリーン、ディフィグリオ(2000年)とソレル(2007年)は、リバウンド効果を三つに区別しました。直接リバウンドは、効率がよくなったサービスそのものをより多く使うことで、燃費が改善した車をより多く運転する場合です。間接リバウンドは、節約したお金で他の財やサービスを消費し、その過程でエネルギーが使われることです。経済全体のリバウンドは、効率向上が価格、生産、成長の構造を変え、経済全般のエネルギー需要を増やす効果まで含みます。チャンとギリンガム(2015年)はミクロ経済理論でリバウンドを分析し、リバウンドが大きくても消費者がより多くのサービスを享受する分、厚生は高まりうると強調しました。
実証研究と政策論争
スモールとヴァン・デンダー(2007年)は、アメリカの自動車走行における直接リバウンドを短期で約4.5%、長期で約22%と推計し、所得が上がるほど小さくなるとしました。ソレル、ディミトロプロス、サマービル(2009年)は、先進国の家庭暖房と輸送の直接リバウンドはおおむね30%以下だとまとめました。デイビス、フックス、ガートラー(2014年)は、メキシコの大規模な冷蔵庫・エアコンの買い替え事業で、エアコンについては使用が増えて電力の節約が期待よりはるかに小さかったと報告しました。ギリンガム、ラプソン、ワグナー(2016年)は、ほとんどの場合リバウンドが節約効果を完全には打ち消さないと結論づけましたが、ブロックウェイら(2021年)は経済全体のリバウンドが既存の気候モデルの想定より大きい可能性があると警告しています。この議論はコブラ効果やブライスのパラドックスのように、意図と逆の結果を生む政策の事例とともに扱われます。
よくある質問
- リバウンド効果を簡単に言うと?
- 燃費のよい車に替えるとガソリン代が安くなるので、より頻繁に、より遠くまで運転するようになる現象です。そのため、技術的に計算したほどにはエネルギーが節約されません。
- リバウンド効果とジェヴォンズのパラドックスは同じですか?
- ジェヴォンズのパラドックスは、リバウンド効果が100%を超え、効率向上がかえって全体の消費を増やす極端な場合を指します。ほとんどの実証研究では、リバウンドは節約効果の一部を打ち消す程度にとどまります。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
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