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消耗戦ゲーム

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
消耗戦ゲームとは、2人のプレイヤーが賞品をめぐって粘り合い、時間がたつほど双方がコストを払い、先にあきらめたほうが賞品を相手に譲るという状況を表すゲーム理論のモデルです。進化生物学者ジョン・メイナード=スミスが1974年に動物のなわばり争いを説明するために提示し、その後、企業の市場撤退、政策改革の遅れ、ストライキや戦争の分析に広く用いられています。
目次
  1. 1. 起源と進化ゲーム理論
  2. 2. 経済学と産業組織論への応用
  3. 3. 政治経済学と紛争研究
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源と進化ゲーム理論

メイナード=スミス(1974年)は、動物が実際に戦わず、誇示行動だけでにらみ合う状況をモデル化しました。2個体はそれぞれどれだけ粘るかを決め、長く粘ったほうが資源を得ますが、にらみ合いの時間に応じたコストは双方が負担します。決まった時間だけ粘る純粋戦略は進化的に安定ではなく、粘る時間を指数分布のようにランダムに選ぶ混合戦略が進化的に安定な戦略となります。この均衡では、資源の期待価値はにらみ合いのコストですべて消散します。ビショップとキャニングス(1978年)はこれを一般化し、パーカー(1974年)は相手の強さを評価する戦略の役割を分析しました。このゲームはチキンゲームを時間軸に引き延ばしたものとも見ることができます。

経済学と産業組織論への応用

ヘンドリクス、ワイス、ウィルソン(1988年)は、完全情報の連続時間消耗戦の均衡を体系的に分析しました。産業組織論では、ゲマワットとネイルバフ(1985年)、フーデンバーグとティロール(1986年)が、衰退する寡占市場で損失を出しながらも相手が先に撤退するのを待つ撤退競争を消耗戦として説明しています。ブロウとクレンペラー(1999年)は、規格競争などで多くの企業が粘り合う一般化された消耗戦を分析し、これはドルオークションのような全員支払いオークションにもつながります。ビロドーとスリヴィンスキー(1996年)は、公共サービスを誰が先に引き受けるかを待ち合う問題も同じ構造で解きました。

政治経済学と紛争研究

アレシナとドレイゼン(1991年)は、財政赤字の削減のように誰にとっても必要な改革が遅れる理由を、各集団が相手が先に負担を受け入れるのを待つ消耗戦として説明しました。このモデルは改革の遅れや政治的分極化の研究で頻繁に引用されています。ケナンとウィルソン(1989年)はストライキの長期化を情報が不完全な交渉における消耗戦と解釈し、フィアロン(1995年)は戦争が起こる合理的な理由を分析するなかで、相手の決意を確かめる過程としての持久戦を論じました。

よくある質問

消耗戦ゲームを簡単に言うと?
双方が何かを手に入れようと粘り合い、粘るほど両者の損失が積み重なり、先にあきらめたほうが負けになるゲームです。
消耗戦ゲームはどこで使われていますか?
動物のなわばり争い、衰退産業で誰が先に撤退するかを待ち合う企業間の競争、財政改革の遅れ、ストライキの交渉、長期化する紛争などの説明に使われています。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Maynard Smith, J. (1974). The theory of games and the evolution of animal conflicts. Journal of Theoretical Biology, 47(1), 209–221.
  2. Bishop, D. T., & Cannings, C. (1978). A generalized war of attrition. Journal of Theoretical Biology, 70(1), 85–124.
  3. Maynard Smith, J. (1982). Evolution and the Theory of Games. Cambridge: Cambridge University Press.
  4. Parker, G. A. (1974). Assessment strategy and the evolution of fighting behaviour. Journal of Theoretical Biology, 47(1), 223–243.
  5. Hendricks, K., Weiss, A., & Wilson, C. (1988). The war of attrition in continuous time with complete information. International Economic Review, 29(4), 663–680.
  6. Fudenberg, D., & Tirole, J. (1986). A theory of exit in duopoly. Econometrica, 54(4), 943–960.
  7. Ghemawat, P., & Nalebuff, B. (1985). Exit. RAND Journal of Economics, 16(2), 184–194.
  8. Alesina, A., & Drazen, A. (1991). Why are stabilizations delayed? American Economic Review, 81(5), 1170–1188.
  9. Bulow, J., & Klemperer, P. (1999). The generalized war of attrition. American Economic Review, 89(1), 175–189.
  10. Kennan, J., & Wilson, R. (1989). Strategic bargaining models and interpretation of strike data. Journal of Applied Econometrics, 4(S1), S87–S130.
  11. Fearon, J. D. (1995). Rationalist explanations for war. International Organization, 49(3), 379–414.
  12. Bilodeau, M., & Slivinski, A. (1996). Toilet cleaning and department chairing: Volunteering a public service. Journal of Public Economics, 59(2), 299–308.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。