アンゾフの成長マトリクスとは
アンゾフの成長マトリクス(Ansoff matrix)とは、製品(既存/新規)と市場(既存/新規)をかけあわせ、企業が成長するための方向性を4つの戦略に整理したフレームワークです。製品・市場マトリクスとも呼ばれ、「経営戦略の父」といわれるH・イゴール・アンゾフが、1957年の論文「Strategies for Diversification(多角化のための戦略)」で示し、1965年の著書『企業戦略論』で体系化しました。中小企業診断士試験などでも定番の論点です。
📌 ひと目でわかる
- 提唱者
- H・イゴール・アンゾフ
- 発表
- 1957年、HBR 35巻5号
- 軸
- 製品×市場
- 関連
- SWOT分析、ポーターの3つの基本戦略
4つの成長戦略
| 既存製品 | 新製品 | |
|---|---|---|
| 既存市場 | 市場浸透 | 新製品開発 |
| 新市場 | 市場開拓 | 多角化 |
- 市場浸透戦略:既存の製品で既存市場のシェアを高めます。値引き、広告、ポイント制度など。もっともリスクが低い戦略です。
- 市場開拓戦略:既存の製品を新しい市場(海外、新しい顧客層)で売ります。例:国内向け商品のアジア進出。
- 新製品開発戦略:既存の顧客に新しい製品を投入します。例:飲料メーカーの新フレーバー、スマホメーカーのスマートウォッチ。
- 多角化戦略:新しい製品で新しい市場に進出します。関連多角化と非関連多角化に分かれ、リスクがもっとも高い戦略です。
右下にいくほど、リスクは高くなります。慣れた製品や顧客から離れるほど、会社にとって「わからないこと」が増えるからです。多くの企業は市場浸透から始め、1つずつ軸を広げていきます。
SWOT分析やPPMとのちがい
SWOT分析は現状の分析、PPM(BCGマトリクス)はすでにもっている事業の組みあわせの評価に使います。アンゾフの成長マトリクスはこれからどの方向に成長するかを選ぶ道具です。実務では、SWOTで現状を整理し、アンゾフで方向を決め、STPや4Pで具体策に落としこむ、という流れでよく使われます。
限界
競合の動きや収益性を直接あつかわないこと、「新規」かどうかを2つに単純化していることが批判されます。また、デジタルプラットフォームのように製品と市場の境目があいまいな業界では、分類がむずかしくなります。
よくある質問
- もっとも安全な戦略はどれですか?
- 一般に、既存製品・既存市場の市場浸透戦略がもっともリスクが低いとされます。
- 多角化はいつもハイリスクですか?
- 自社の技術や販路を生かせる関連多角化は、非関連多角化よりリスクが低いと考えられています。
- 元の論文は?
- Ansoff(1957)"Strategies for Diversification"、HBR 35巻5号、113〜124ページです。
参考文献
- Ansoff, H. I. (1957). Strategies for diversification. Harvard Business Review, 35(5), 113–124.
- Ansoff, H. I. (1965). Corporate strategy. New York: McGraw-Hill.
- Kotler, P., & Keller, K. L. (2016). Marketing management (15th ed.). Pearson.
