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ベルトラン競争

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ベルトラン競争とは、フランスの数学者ジョゼフ・ベルトランが1883年にクールノーの寡占モデルを批判して提示した寡占モデルで、同質的な財を売る企業が生産量ではなく価格を同時に決めて競争する状況を指します。少しでも安く売れば市場全体を獲得できるため、企業が2社しかなくても価格が限界費用まで下がるという「ベルトランのパラドックス」が中心的な結論です。
目次
  1. 1. ベルトランの批判とパラドックス
  2. 2. パラドックスの解決
  3. 3. 価格の分散と実験による証拠
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ベルトランの批判とパラドックス

ベルトラン(1883年)は、クールノー(1838年)の著書の書評のなかで、企業が実際に決めているのは生産量ではなく価格だと指摘しました。同質的な財を同じ限界費用で生産する2社が価格を決める場合、相手よりわずかに下げるだけですべての顧客を獲得できるため、互いに値下げする誘因が生じ続けます。結局、唯一のナッシュ均衡は、両社がともに価格を限界費用と等しくし、利潤がゼロになる状態です。わずか2社で完全競争と同じ結果になるというこの結論は、現実の寡占市場で利潤が観察される事実と食い違うため、「ベルトランのパラドックス」と呼ばれます。

パラドックスの解決

エッジワース(1897年)は、企業に生産能力の限界があれば、価格を下げてもすべての需要に応えることはできないため、価格は限界費用まで下がらず循環しうることを示しました。クレプスとシャインクマン(1983年)は、企業がまず生産能力を決め、そのあとで価格競争をすると、結果がクールノー均衡と一致することを証明しています。ホテリング(1929年)は、消費者が立地や好みによって企業を異なって評価する製品差別化があれば価格が限界費用より高く保たれることを示し、シンとビベス(1984年)は、差別化された複占では価格競争のほうが数量競争よりも競争的になることを示しました。フリードマン(1971年)の繰り返しゲームの分析は、取引が無限に繰り返されれば談合価格が維持されうることを示しています。

価格の分散と実験による証拠

ヴァリアン(1980年)は、一部の消費者しか価格を比較しない市場では、企業がランダムに値引きを行う混合戦略均衡が生じ、同じ商品でも価格がばらつくと説明しました。ベイ、モーガン、ショルテン(2004年)は、インターネットの価格比較サイトでもかなりの価格の分散が続いていることを示し、ベイとモーガン(1999年)は、利潤が無限に大きくなりうる需要条件のもとでは、1回限りのベルトラン・ゲームでも正の利潤をもつ均衡が存在しうることを示しました。ドゥフヴェンベリとグニージー(2000年)の実験では、2社の市場では価格が限界費用より高く保たれましたが、3〜4社になると急速に限界費用の近くへと収束しました。ティロール(1988年)とビベス(1999年)は、ベルトラン・モデルを産業組織論の基本的な枠組みとして整理しています。

よくある質問

ベルトラン競争を簡単に言うと?
同じ商品を売る企業が価格で競争する状況です。少しでも安く売れば客をすべて奪えるので、互いに値下げを続けることになります。
ベルトランのパラドックスとは何ですか?
理論上は企業が2社しかなくても価格が原価の水準まで下がり、利潤がゼロになるという結論です。実際の市場では、生産能力の限界、製品の違い、繰り返しの取引のために、そこまで下がらないことが多いです。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Bertrand, J. (1883). Review of Walras's Théorie mathématique de la richesse sociale and Cournot's Recherches. Journal des Savants, 67, 499–508.
  2. Cournot, A. A. (1838). Recherches sur les principes mathématiques de la théorie des richesses. Paris: Hachette.
  3. Edgeworth, F. Y. (1897). La teoria pura del monopolio. Giornale degli Economisti, 15, 13–31.
  4. Hotelling, H. (1929). Stability in competition. Economic Journal, 39(153), 41–57.
  5. Kreps, D. M., & Scheinkman, J. A. (1983). Quantity precommitment and Bertrand competition yield Cournot outcomes. Bell Journal of Economics, 14(2), 326–337.
  6. Singh, N., & Vives, X. (1984). Price and quantity competition in a differentiated duopoly. RAND Journal of Economics, 15(4), 546–554.
  7. Tirole, J. (1988). The Theory of Industrial Organization. Cambridge, MA: MIT Press.
  8. Friedman, J. W. (1971). A non-cooperative equilibrium for supergames. Review of Economic Studies, 38(1), 1–12.
  9. Baye, M. R., & Morgan, J. (1999). A folk theorem for one-shot Bertrand games. Economics Letters, 65(1), 59–65.
  10. Dufwenberg, M., & Gneezy, U. (2000). Price competition and market concentration: An experimental study. International Journal of Industrial Organization, 18(1), 7–22.
  11. Varian, H. R. (1980). A model of sales. American Economic Review, 70(4), 651–659.
  12. Baye, M. R., Morgan, J., & Scholten, P. (2004). Price dispersion in the small and in the large: Evidence from an internet price comparison site. Journal of Industrial Economics, 52(4), 463–496.
  13. Vives, X. (1999). Oligopoly Pricing: Old Ideas and New Tools. Cambridge, MA: MIT Press.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。