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クールノー競争

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
クールノー競争とは、フランスの数学者・経済学者アントワーヌ・オーギュスタン・クールノーが1838年に提示した寡占モデルで、同質的な財を売る企業がそれぞれ相手の生産量を所与として、自らの生産量を同時に決める競争を指します。このとき成立する均衡は、のちのナッシュ均衡の原型と評価され、価格は独占より低く、完全競争より高い水準に決まります。
目次
  1. 1. クールノーの複占モデル
  2. 2. ベルトランの批判と代替モデル
  3. 3. 政策への応用と実験
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

クールノーの複占モデル

クールノー(1838年)は、2人の鉱泉の所有者が同じ市場で水を売るという例を挙げ、それぞれが相手の供給量を所与として利潤を最大にする生産量を決めると仮定しました。相手の生産量に対する最適な生産量を表したものが反応関数で、2つの反応関数が交わる点が均衡です。この均衡はどの企業も単独で生産量を変えて得をすることができない状態であり、ナッシュ(1950年)が一般化したナッシュ均衡の原型であることから「クールノー=ナッシュ均衡」とも呼ばれます。均衡での総生産量は独占より多く完全競争より少なく、企業数が増えるにつれて価格は限界費用に収束します。

ベルトランの批判と代替モデル

ベルトラン(1883年)は、企業が生産量ではなく価格を決めるのであれば、わずか2社でも価格は限界費用まで下がると批判しました。これは「ベルトランのパラドックス」と呼ばれています。シュタッケルベルク(1934年)は、一方の企業が先に生産量を決めるリーダー・フォロワー・モデルを提示しました。クレプスとシャインクマン(1983年)は、企業がまず生産能力を決め、そのあとで価格競争をすると、結果がクールノー均衡と一致することを証明し、生産能力の制約が重要な産業でクールノー・モデルを用いる根拠を示しました。ノブシェック(1985年)は均衡の存在条件を整理し、シャピロ(1989年)、ティロール(1988年)、ビベス(1999年)は、寡占理論の標準的な枠組みとしてのクールノー・モデルの位置づけを確立しました。

政策への応用と実験

サラント、スウィッツァー、レイノルズ(1983年)は、クールノー市場では一部の企業による水平合併がかえって合併企業の利潤を減らしうるという「合併のパラドックス」を示し、ファレルとシャピロ(1990年)は合併が価格と厚生に与える影響を分析する枠組みを築きました。ブランダーとスペンサー(1985年)は、クールノー競争が行われる国際市場では輸出補助金が自国企業のシェアを高めうるという戦略的貿易政策の理論を提示しています。ハック、ノルマン、エクスラー(2004年)の実験では、2社の場合には談合に近い結果が、4社以上の場合にはクールノー水準以上に競争的な結果が見られました。

よくある質問

クールノー競争を簡単に言うと?
同じ商品を売る少数の企業が、ライバルがどれだけ生産するかを予想しながら、それぞれ生産量を決める競争です。その結果、価格は独占よりは低く、完全競争よりは高くなります。
ベルトラン競争とは何が違いますか?
クールノー競争では企業が生産量を決め、ベルトラン競争では価格を決めます。ベルトラン・モデルでは企業が2社だけでも価格が原価の水準まで下がりうる点が大きな違いです。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Cournot, A. A. (1838). Recherches sur les principes mathématiques de la théorie des richesses. Paris: Hachette.
  2. Bertrand, J. (1883). Review of Walras's Théorie mathématique de la richesse sociale and Cournot's Recherches. Journal des Savants, 67, 499–508.
  3. Stackelberg, H. von (1934). Marktform und Gleichgewicht. Vienna: Springer.
  4. Nash, J. F. (1950). Equilibrium points in n-person games. Proceedings of the National Academy of Sciences, 36(1), 48–49.
  5. Kreps, D. M., & Scheinkman, J. A. (1983). Quantity precommitment and Bertrand competition yield Cournot outcomes. Bell Journal of Economics, 14(2), 326–337.
  6. Novshek, W. (1985). On the existence of Cournot equilibrium. Review of Economic Studies, 52(1), 85–98.
  7. Shapiro, C. (1989). Theories of oligopoly behavior. In R. Schmalensee & R. Willig (Eds.), Handbook of Industrial Organization (Vol. 1, pp. 329–414). Amsterdam: North-Holland.
  8. Tirole, J. (1988). The Theory of Industrial Organization. Cambridge, MA: MIT Press.
  9. Salant, S. W., Switzer, S., & Reynolds, R. J. (1983). Losses from horizontal merger: The effects of an exogenous change in industry structure on Cournot–Nash equilibrium. Quarterly Journal of Economics, 98(2), 185–199.
  10. Farrell, J., & Shapiro, C. (1990). Horizontal mergers: An equilibrium analysis. American Economic Review, 80(1), 107–126.
  11. Brander, J. A., & Spencer, B. J. (1985). Export subsidies and international market share rivalry. Journal of International Economics, 18(1–2), 83–100.
  12. Huck, S., Normann, H.-T., & Oechssler, J. (2004). Two are few and four are many: Number effects in experimental oligopolies. Journal of Economic Behavior & Organization, 53(4), 435–446.
  13. Vives, X. (1999). Oligopoly Pricing: Old Ideas and New Tools. Cambridge, MA: MIT Press.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。