概要
韓国法の仮登記(가등기)は、不動産物権の変動を生じさせる請求権を保全するため、後に行う本登記の順位をあらかじめ確保しておく予備的な登記です。たとえば不動産の売買契約を結び、残代金の支払い前に買主が所有権移転請求権保全の仮登記をしておけば、その間に売主が別の人に不動産を売ったり抵当権を設定したりしても、買主は後で本登記をすることで優先できます。登記制度全般は不動産登記の項目で扱います。
仮登記の対象と申請
- 対象(第88条):不動産登記法第3条各号の権利(所有権、地上権、地役権、伝貰権、抵当権、権利質権、債権担保権、賃借権)の設定・移転・変更・消滅の請求権を保全しようとするときに行います。請求権が始期付・停止条件付であるときや、将来確定するものであるときも可能です。売買予約や代物弁済予約による請求権が典型です。
- 申請(第89条・第90条):原則として仮登記権利者と仮登記義務者が共同で申請しますが、仮登記義務者の承諾があるか、裁判所の仮登記仮処分命令があれば仮登記権利者が単独で申請できます。仮処分命令は、不動産所在地を管轄する地方法院が仮登記原因事実の疎明があるときに発します。
- 抹消(第93条):仮登記名義人は単独で仮登記の抹消を申請でき、仮登記義務者や利害関係人は仮登記名義人の承諾を得て単独で申請できます。
本登記前の効力
- 実体法上の効力なし:仮登記だけでは物権変動は起こらず、仮登記義務者の処分を禁止する効力もありません。所有者は仮登記の後も不動産を処分できます。
- 推定力の否定:大法院は、所有権移転請求権保全のための仮登記があるからといって、所有権移転登記を請求できる何らかの法律関係があると推定されるわけではないとしました(大法院1979年5月22日宣告79다239判決)。
- 事実上の警告機能:登記簿に仮登記があれば、第三者はその不動産の権利を後で失う危険を知ることができるため、取引の際には必ず確認すべきです。
本登記後の効力
- 順位保全(第91条):仮登記に基づく本登記をしたとき、本登記の順位は仮登記の順位によります。そのため仮登記の後に設定された抵当権や所有権移転登記は本登記に劣後します。
- 物権変動の効力の不遡及:さかのぼるのは順位だけで、本登記による物権変動の効力が仮登記の時にさかのぼって生じるわけではありません(大法院1992年9月25日宣告92다21258判決)。
- 中間処分登記の職権抹消(第92条):登記官は本登記をしたとき、仮登記の後になされた登記で仮登記により保全される権利を侵害するものを職権で抹消しなければなりません。ただし不動産登記規則第147条は、所有権移転の本登記の場合、仮登記上の権利を目的とする仮差押え・仮処分登記、仮登記前の仮差押えに基づく強制競売開始決定登記、仮登記前の担保仮登記・伝貰権・抵当権に基づく任意競売開始決定登記、仮登記権者に対抗できる住宅・商業用建物の賃借権登記などを抹消対象から除外しています。
担保仮登記と仮登記担保法
金銭を貸す際に、返済できなければ不動産の所有権を移すという代物弁済予約をして仮登記をしておく場合を担保仮登記といいます。1983年に制定された「仮登記担保等に関する法律」は、債権者が担保価値を超える利益を得ないよう清算手続を義務づけています。
- 実行の通知と清算期間(第3条):債権者は弁済期後に清算金の評価額を債務者等に通知し、通知が到達した日から2か月の清算期間を経過しなければなりません。
- 清算金の支払いと本登記(第4条):不動産の価額から債権額を差し引いた清算金を支払う必要があり、担保仮登記の場合は清算期間が経過して初めて本登記を請求できます。これに反する特約で債務者等に不利なものは無効です。
- 競売と優先弁済(第12条・第13条):担保仮登記権利者は競売を請求でき、競売では担保仮登記権利は抵当権とみなされ、仮登記の時を基準に優先弁済を受けます。
実務上の注意点
- 購入や賃借の前に、登記簿の甲区に仮登記がないか確認しましょう。仮登記の後に入った権利は本登記によって抹消されることがあります(賃借人の権利も参照)。
- 仮登記が請求権保全のためか担保のためかは、登記記録の名称ではなく実際の取引関係で判断されるため、原因となる契約書もあわせて確認する必要があります。
- 売買予約に基づく仮登記の場合、予約完結権は形成権であり、行使期間の約定がなければ予約成立時から10年の除斥期間内に行使しなければならず、期間経過により消滅します(大法院2003年1月10日宣告2000다26425判決)。古い仮登記は抹消請求ができるか検討する価値があります。
参考文献
- 「부동산등기법」 제88조–제93조 (법률 제20435호, 2024. 9. 20. 일부개정, 2025. 1. 31. 시행).
- 「부동산등기규칙」 제147조 (본등기와 직권말소).
- 「가등기담보 등에 관한 법률」 제3조·제4조·제12조·제13조 (법률 제3681호, 1983. 12. 30. 제정).
- 대법원 1979. 5. 22. 선고 79다239 판결.
- 대법원 1992. 9. 25. 선고 92다21258 판결.
- 대법원 2003. 1. 10. 선고 2000다26425 판결.
- 최명구 (2017). 일반가등기의 효력. 토지법학, 33(2), 1–32.