リスキー・シフトから集団極性化へ
ストーナー(1961年)はMITの修士論文で、人々に危険な選択と安全な選択の間のジレンマを示し、個人が一人で判断するときより、集団で議論した後に合意した決定のほうがより危険な方向に移る傾向を見いだしました。ウォラック、コーガン、ベム(1962年)はこれを体系的に再現し、「リスキー・シフト」という名を広めました。しかしその後、一部の項目ではむしろより慎重な方向へ移るという結果が出ました。モスコヴィッシとザヴァローニ(1969年)は、フランスの学生のド・ゴールに対する肯定的な態度とアメリカ人に対する否定的な態度が、議論の後それぞれより強くなったことを示し、集団が態度を極性化させるという一般的な原理を示しました。マイヤーズとビショップ(1970年)は、人種的偏見の強い学生同士が議論すると偏見がより強まり、弱い学生同士が議論するとより弱まるという結果を報告しました。
なぜ起こるのか
マイヤーズとラム(1976年)はそれまでの研究をまとめ、二つの主な説明を示しました。第一に、説得的論拠理論は、議論の中で多数が傾いている側を支持する新しく説得力のある論拠がより多く出るため、立場がその方向へ移ると考えます。バーンスタインとヴィノクール(1977年)はこの情報的影響を強調しました。第二に、社会的比較理論は、人々は集団で高く評価される価値を自分が他人よりうまく体現していると見られたいので、他人の立場を知るとそれより少し先の立場をとると説明します。アイゼンバーグ(1986年)のメタ分析は、両方の過程に意味のある効果があるものの、説得的論拠の効果のほうが大きいと報告しました。マッキー(1986年)は自己カテゴリー化の観点から、人々が内集団の典型的な立場に同調し、外集団との違いを際立たせようとするときに極性化が起こると報告しました。
熟議、法、ソーシャルメディア
サンスティーン(2002年)は「集団極性化の法則」という論文で、同じ考えをもつ人同士の熟議は集団をより極端に導きうるとし、それは陪審の評決、裁判官の合議体、政治運動にも現れると主張しました。シュケイド、サンスティーン、ヘイスティ(2007年)は、アメリカ・コロラド州のリベラルな都市と保守的な都市の住民をそれぞれ同じ傾向の人同士で議論させたところ、地球温暖化、同性婚、アファーマティブ・アクションについての立場がより極端になり、集団内の多様性は減ったと報告しました。一方でフィシュキンとラスキン(2005年)は、多様な人々が混ざり、バランスのとれた情報をもとに議論する「討論型世論調査」では、極性化ははっきり現れないことがあると報告しました。サンスティーン(2017年)は、ソーシャルメディアが似た人々を集めるエコーチェンバーをつくり、集団極性化を強めうると警告しました。この概念は集団浅慮やアッシュの同調実験とともに、集団の意思決定を理解するための中心的な概念です。
よくある質問
- 集団極性化を簡単に言うと?
- ある意見に少し賛成していた人たちが集まって話し合うと、最初よりずっと強く賛成するようになる現象です。同じ考えの人同士の議論が考えをより極端に押しやりうるということです。
- 集団極性化と集団浅慮はどう違いますか?
- 集団浅慮は、結束の強い集団が合意を重視しすぎて反対意見や代案を十分に検討できず、誤った決定を下す現象です。集団極性化は、議論の後に集団の立場がもともと傾いていた方向へより極端になる現象で、二つは同時に起こりえますが、別の概念です。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Stoner, J. A. F. (1961). A comparison of individual and group decisions involving risk. Unpublished master's thesis, Massachusetts Institute of Technology.
- Wallach, M. A., Kogan, N., & Bem, D. J. (1962). Group influence on individual risk taking. Journal of Abnormal and Social Psychology, 65(2), 75–86.
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