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ホテリング・ルール

📈 経済学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
ホテリング・ルールとは、競争的な市場において枯渇性資源の純価格、つまり価格から限界採掘費用を差し引いた希少性レントが、時間の経過とともに市場利子率と同じ率で上昇するという原理です。アメリカの経済学者ハロルド・ホテリングが1931年の論文で示し、資源経済学の出発点とされています。
目次
  1. 1. 起源と基本的な論理
  2. 2. 世代間公平と理論の拡張
  3. 3. 実証的検証と評価
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

起源と基本的な論理

地中の石油や鉱石は、一度掘り出せば二度と元には戻りません。ルイス・グレイ(1914年)は、こうした資源の採掘には生産費用に加えて、将来それを使う機会を手放す費用が伴うと指摘し、ハロルド・ホテリング(1931年)はこれを動学的最適化の問題として定式化しました。資源の所有者は、今日1単位を掘り出して売り、その収入を利子率で運用するか、資源を地中に残して後で売るかを選びます。競争均衡で両者の収益が等しくなるには、純価格すなわち希少性レントが利子率と同じ率で上昇しなければなりません。これは資産市場の裁定条件と同じ構造であり、地中の資源を一種の資本資産とみなす視点を与えました。この論理は現在価値と割引率の考え方に直接依拠しています。

世代間公平と理論の拡張

1970年代の石油危機を機に、ホテリングの論文は再び注目を集めました。ソロー(1974年)はアメリカ経済学会のイーリー講演で枯渇性資源と持続可能な消費の関係を論じ、ダスグプタとヒール(1974年、1979年)は生産において再生産可能な資本が資源を代替できる条件を分析しました。ハートウィック(1977年)は、資源から得たレントをすべて再生産可能な資本に投資すれば1人あたり消費を一定に保てるという「ハートウィック・ルール」を示しました。ピンダイク(1978年)は探鉱によって埋蔵量が増える場合を扱い、その後の研究は採掘費用の低下、技術変化、市場支配力、不確実性を織り込んでルールを修正しました。こうした拡張では、純価格が利子率より緩やかに上昇したり、一時的に下落したりすることもあります。

実証的検証と評価

ルールの予測に反して、20世紀の多くの一次産品の実質価格ははっきりした上昇傾向を示しませんでした。スレイド(1982年)は価格がはじめ下落し後に上昇するU字型の経路を提示し、ミラーとアプトン(1985年)は石油・ガス企業の市場価値がホテリングの評価原理でかなりの程度説明できるという結果を得ました。クラウトクレーマー(1998年)とリバーノワ(2009年)は、技術進歩、新たな発見、測定の難しさのために単純な価格による検証は難しいとまとめています。ゴーデ(2007年)は、価格予測そのものよりも、その根底にある裁定条件こそが資源経済学の中核的な枠組みであり続けていると評価しました。この原理は、資源に依存する経済をめぐるオランダ病の議論ともつながっています。

よくある質問

ホテリング・ルールを簡単に説明すると?
有限な資源を地中に残しておくこと自体が一種の投資なので、所有者が今掘るのと後で掘るのを同等とみなすには、その希少価値が利子率と同じ率で上がる必要があるという原理です。
現実の資源価格はなぜルールどおりに上がらなかったのですか?
新たな埋蔵量の発見、採掘技術の進歩、費用の低下、市場構造や不確実性といった要因が、希少性レントの上昇を打ち消してきたためだと説明されることが多いです。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Hotelling, H. (1931). The economics of exhaustible resources. Journal of Political Economy, 39(2), 137–175.
  2. Gray, L. C. (1914). Rent under the assumption of exhaustibility. Quarterly Journal of Economics, 28(3), 466–489.
  3. Solow, R. M. (1974). The economics of resources or the resources of economics. American Economic Review, 64(2), 1–14.
  4. Dasgupta, P., & Heal, G. (1974). The optimal depletion of exhaustible resources. Review of Economic Studies, 41, 3–28.
  5. Dasgupta, P., & Heal, G. (1979). Economic Theory and Exhaustible Resources. Cambridge: Cambridge University Press.
  6. Hartwick, J. M. (1977). Intergenerational equity and the investing of rents from exhaustible resources. American Economic Review, 67(5), 972–974.
  7. Pindyck, R. S. (1978). The optimal exploration and production of nonrenewable resources. Journal of Political Economy, 86(5), 841–861.
  8. Devarajan, S., & Fisher, A. C. (1981). Hotelling's “Economics of exhaustible resources”: Fifty years later. Journal of Economic Literature, 19(1), 65–73.
  9. Miller, M. H., & Upton, C. W. (1985). A test of the Hotelling valuation principle. Journal of Political Economy, 93(1), 1–25.
  10. Slade, M. E. (1982). Trends in natural-resource commodity prices: An analysis of the time domain. Journal of Environmental Economics and Management, 9(2), 122–137.
  11. Krautkraemer, J. A. (1998). Nonrenewable resource scarcity. Journal of Economic Literature, 36(4), 2065–2107.
  12. Gaudet, G. (2007). Natural resource economics under the rule of Hotelling. Canadian Journal of Economics, 40(4), 1033–1059.
  13. Livernois, J. (2009). On the empirical significance of the Hotelling rule. Review of Environmental Economics and Policy, 3(1), 22–41.

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この記事は2026年10月26日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。