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政党帰属意識

🏛️ 政治・行政学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
政党帰属意識(パーティー・アイデンティフィケーション)とは、有権者が特定の政党を「自分たちの側」と感じる、長く続く心理的な帰属感のことです。1960年にアンガス・キャンベル、フィリップ・コンヴァースらミシガン大学の研究者が『アメリカの有権者』で示した概念で、投票行動を説明する最も重要な変数の一つとされます。彼らは、政党帰属意識は主に家庭で子ども時代に形成され、長期にわたって安定して保たれ、候補者や争点への評価をふるいにかけるレンズの役割を果たすと考えました。
目次
  1. 1. ミシガン学派の政党帰属意識
  2. 2. 修正主義と脱編成
  3. 3. 党派的バイアスと分極化
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

ミシガン学派の政党帰属意識

キャンベルら(1960年)はアメリカの有権者調査をもとに、多くの有権者が政党を政策の束としてではなく、宗教や民族のように自分が属する集団として感じていると考えました。政党帰属意識は主に親から受け継がれて子ども時代に形成され、いったん生まれるとあまり変わりません。彼らは「因果の漏斗」というモデルで、社会的背景や政党帰属意識のような長期的要因が、候補者イメージや争点といった短期的要因への評価をふるいにかけ、最終的な投票選択につながると説明しました。コンヴァース(1969年)は、民主的な選挙の経験が長くなるほど世代を経て政党帰属意識が強まると報告し、新しい民主主義国で政党への帰属感が弱い理由を説明しました。

修正主義と脱編成

フィオリーナ(1981年)は、政党帰属意識を政府や政党の過去の業績に対する評価が積み重なった「累積得点」とみなしました。つまり有権者は経済状況などを見て、政党への態度を少しずつ更新するというのです。フランクリンとジャクソン(1983年)も、政党帰属意識が争点への立場や評価によって変わりうるという結果を示しました。こうした観点は政党帰属意識を合理的選択の枠組みと結びつけました。一方ダルトン(1984年)は、教育水準が高まり、メディアを通じて情報を直接得る「認知的動員」が増えるにつれ、有権者が政党という近道にあまり頼らなくなり、先進民主主義国で政党帰属意識が弱まる「脱編成」が現れると主張しました。

党派的バイアスと分極化

バーテルズ(2002年)は、政党帰属意識が単なる評価の結果ではなく、経済状況のような客観的事実を認識する仕方まで変えることを示しました。同じ経済状況でも、与党支持者はより良く、野党支持者はより悪く認識するというのです。これは確証バイアスや選択的接触といった心理的過程と関係しています。アイエンガー、スード、レルケス(2012年)は、政党帰属意識を社会的アイデンティティとしてとらえ、アメリカでは相手政党の支持者を嫌う感情が強まる「感情的分極化」が、政策イデオロギーの違いよりも速く拡大したと分析しました。このように政党帰属意識は、今日の政治的分極化を理解する中核的な概念となりました。

よくある質問

政党帰属意識を簡単に言うと?
有権者が特定の政党を、応援するチームのように「自分たちの側」と感じる気持ちです。主に子ども時代に家庭で形成され、候補者や政策を判断するときに一種のめがねのように働くと考えられています。
政党帰属意識は変わらないのですか?
ミシガン学派は非常に安定しているとみましたが、フィオリーナのような研究者は、政府の業績や争点によって少しずつ変わりうると考えました。また、教育や情報が増えるにつれて政党帰属意識が弱まる脱編成も現れました。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Campbell, A., Converse, P. E., Miller, W. E., & Stokes, D. E. (1960). The American Voter. New York: Wiley. 政党帰属意識の概念を確立したミシガン学派の古典で、概念の本来の定義を確かめるときに参考になります。
  2. Converse, P. E. (1969). Of time and partisan stability. Comparative Political Studies, 2(2), 139–171. 民主主義の経験が積み重なるほど政党帰属意識が強まるという比較研究で、国ごとの違いを理解するのに参考になります。
  3. Fiorina, M. P. (1981). Retrospective Voting in American National Elections. New Haven, CT: Yale University Press. 政党帰属意識を過去の業績評価の累積とみる修正主義的観点の代表作で、ミシガン学派と比べるのに役立ちます。
  4. Franklin, C. H., & Jackson, J. E. (1983). The dynamics of party identification. American Political Science Review, 77(4), 957–973. 政党帰属意識が争点への立場や評価によって変わりうることを示した研究で、安定性をめぐる論争を理解するのに参考になります。
  5. Dalton, R. J. (1984). Cognitive mobilization and partisan dealignment in advanced industrial democracies. Journal of Politics, 46(1), 264–284. 教育と情報の増加によって政党への依存が弱まる「脱編成」を扱っており、無党派層の増加を理解するのに役立ちます。
  6. Bartels, L. M. (2002). Beyond the running tally: Partisan bias in political perceptions. Political Behavior, 24(2), 117–150. 政党帰属意識が経済状況のような事実の認識まで歪めるという研究で、党派的バイアスを知りたいときに参考になります。
  7. Iyengar, S., Sood, G., & Lelkes, Y. (2012). Affect, not ideology: A social identity perspective on polarization. Public Opinion Quarterly, 76(3), 405–431. 政党帰属意識を社会的アイデンティティととらえ、相手政党への感情的分極化を分析しており、今日の分極化を理解するのに役立ちます。

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。