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旗下結集効果

🏛️ 政治・行政学 執筆 CampusDown ウィキ編集部 最終更新
旗下結集効果とは、米国の政治学者ジョン・ミューラーが1970年の大統領支持率研究で名づけた現象で、国家が劇的で具体的な国際危機や外部の脅威に直面すると、国民が党派を超えて指導者のもとに結集し、支持率が短期間に大きく上昇する傾向を指します。英語の「rally round the flag(旗のもとに集まれ)」に由来し、「旗の下への結集効果」とも呼ばれます。
目次
  1. 1. 概念の起源と社会学的背景
  2. 2. なぜ起こるのか:愛国心かエリートの合意か
  3. 3. 事例と論争
  4. 4. よくある質問
  5. 5. 参考文献

概念の起源と社会学的背景

ミューラー(1970年、1973年)は、トルーマンからジョンソンまでのギャラップ支持率データを分析し、米国が直接関わり大統領が中心に立つ劇的で具体的な国際的出来事が起きると、支持率が一時的に上昇することを発見しました。朝鮮戦争の勃発やキューバ危機などが代表例です。この現象の社会学的な源流は、外部との対立が集団内部の結束を強めるとするジンメル(英訳1955年)とコーザー(1956年)の闘争理論に求められます。危機を前にして国民が国家のアイデンティティを軸にまとまり、指導者をその象徴とみなすようになるという説明です。

なぜ起こるのか:愛国心かエリートの合意か

ブロディ(1991年)は、結集は単なる愛国心よりも、危機の初期に野党政治家やメディアが批判を控える「エリートの合意」から生じると考えました。批判的な情報がなくなると、有権者が大統領を好意的に評価するようになるというのです。オニールとブライアン(1995年)は1950〜1985年の外交危機を分析し、効果の大きさは報道や超党派の支持によって変わると報告しました。ベイカーとオニール(2001年)は、効果は愛国心よりもオピニオン・リーダーの反応に左右されると結論づけています。バウム(2002年)は、結集が主に野党支持者や無党派層の態度の変化から生じることを示しました。ランバート、ショット、シェーラー(2011年)は、脅威が不安や怒りを引き起こして権威への支持を高める心理的な経路を整理しました。

事例と論争

2001年の9・11同時多発テロの直後、ジョージ・W・ブッシュ大統領の支持率は50%台から90%に跳ね上がり、ギャラップ調査史上最高を記録しました。ヘザリントンとネルソン(2003年)は、この結集は異例なほど大きく長続きしたものの、やがて徐々に弱まったと分析しています。チョワニエツ(2011年)は、多くの民主国家で、テロ後に野党が政府を支持するか批判するかが結集の有無を左右すると報告しました。シュラフ(2021年)は、新型コロナ流行初期のヨーロッパで政府への信頼が高まった現象を分析しました。一方、指導者が国内の支持を得るために対外紛争を起こすという「陽動戦争論」はこの効果を根拠としていますが、レヴィ(1989年)はその実証的な裏づけはまちまちだと批判しました。このテーマは観衆費用など、国内政治と外交の連関をめぐる研究にもつながっています。

よくある質問

旗下結集効果を簡単に言うと?
国に戦争やテロのような大きな外部の危機が起きると、ふだんは支持していない人まで指導者のもとにまとまり、支持率が急に上がる現象です。
結集効果はどのくらい続きますか?
たいていは数週間から数か月で消える一時的な現象です。9・11後のように大きく長く続いた例もありますが、時間がたって批判が再び出てくると、支持率は徐々にもとの水準に戻っていきます。

出典確認日:2026-10-26

参考文献

  1. Mueller, J. E. (1970). Presidential popularity from Truman to Johnson. American Political Science Review, 64(1), 18–34.
  2. Mueller, J. E. (1973). War, Presidents and Public Opinion. New York: Wiley.
  3. Simmel, G. (1955). Conflict and the Web of Group-Affiliations (K. H. Wolff & R. Bendix, Trans.). Glencoe, IL: Free Press.
  4. Coser, L. A. (1956). The Functions of Social Conflict. Glencoe, IL: Free Press.
  5. Brody, R. A. (1991). Assessing the President: The Media, Elite Opinion, and Public Support. Stanford, CA: Stanford University Press.
  6. Oneal, J. R., & Bryan, A. L. (1995). The rally 'round the flag effect in U.S. foreign policy crises, 1950–1985. Political Behavior, 17(4), 379–401.
  7. Baum, M. A. (2002). The constituent foundations of the rally-round-the-flag phenomenon. International Studies Quarterly, 46(2), 263–298.
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  9. Chowanietz, C. (2011). Rallying around the flag or railing against the government? Political parties' reactions to terrorist acts. Party Politics, 17(5), 673–698.
  10. Levy, J. S. (1989). The diversionary theory of war: A critique. In M. I. Midlarsky (Ed.), Handbook of War Studies (pp. 259–288). Boston: Unwin Hyman.
  11. Lambert, A. J., Schott, J. P., & Scherer, L. (2011). Threat, politics, and attitudes: Toward a greater understanding of rally-'round-the-flag effects. Current Directions in Psychological Science, 20(6), 343–348.
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  13. Schraff, D. (2021). Political trust during the Covid-19 pandemic: Rally around the flag or lockdown effect? European Journal of Political Research, 60(4), 1007–1017.

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この記事は2026年10月27日に最終更新されました。内容は広く知られた原典と教科書に基づいて整理していますが、レポートで引用する際は参考文献の原典を必ず確認してください。