歴史と基準
1944年、スウェーデンの耳科医デ・クレインが健康な人に突然起きた聴力喪失を体系的に報告し、独立した疾患として扱われるようになりました。米国耳鼻咽喉科学会の2019年改訂ガイドラインなどは「72時間以内に連続する3周波数で30dB以上低下した感音難聴」を基準としています。40〜60代に多くみられます。
症状と原因
朝起きたら片耳が詰まった感じがする、電話の声が聞こえにくいといった形で突然現れ、耳鳴りやめまいを伴うことが多いです。耳あかや中耳炎のような伝音の問題ではなく蝸牛や聴神経の異常で、ウイルス感染、内耳の血流障害、自己免疫などが疑われますが、多くは原因不明です。まれな聴神経腫瘍を除外するためMRIが勧められることもあります。
治療と回復
内服や鼓室内注入のステロイドが標準治療で、2019年のガイドラインは2週間以内の開始と、6週間以内の高気圧酸素療法の併用検討を推奨しています。約3分の1が完全に、3分の1が部分的に回復し、高齢やめまいを伴う場合は予後が悪くなります。残った難聴は補聴器で補え、難聴は認知症の危険因子でもあるので放置しないことが大切です。
この記事は一般的な健康情報であり、診断や治療に代わるものではありません。症状が続く場合は医師に相談してください。
よくある質問
- 治療のタイムリミットは?
- 明確な線はありませんが、発症後2週間以内、特に最初の数日に始めるほど回復率が高くなります。
- 耳が詰まったらすぐ受診すべき?
- 片耳が急に詰まって聞こえにくいなら、できるだけ早く耳鼻科で聴力検査を受けましょう。
出典確認日:2026-10-26
参考文献
- Chandrasekhar, S. S., et al. (2019). Clinical practice guideline: Sudden hearing loss (update). Otolaryngology–Head and Neck Surgery, 161(1_suppl), S1–S45.
- De Kleyn, A. (1944). Sudden complete or partial loss of function of the octavus-system in apparently normal persons. Acta Oto-Laryngologica, 32, 407–429.
- 대한이과학회. (2024). 돌발성 난청 진료 지침.
